「地元チェーン」が急拡大しているワケ
金匠寿司は地元系企業が2018年から経営する回転ずしチェーンで、26年3月15日時点で上海に17店舗、杭州に4店舗を展開する。冒頭の予約待ち状況を検索するアプリで見ても、金匠は複数人の入店に100番待ちということもザラで、とくに上海市内で人気がある。
上海の友人によると「中国系は最初はまずいイメージがありましたが、行ってみたら意外に美味しくて、値段も安いです。昔と違い、今、多くの上海人は日本旅行に行った経験があり、本場の味を知っているので、中途半端な味や、まがいものは通用しません。本場に近い味で、かつコスパもよくないとダメです。それに加えて、地元の人に合わせたローカルアレンジ。その3要素がないと、この上海では勝てないと思いますね」という。
金匠寿司の外観や内装、回転レーンなどは日系かと思うほど日本の回転寿司に似ておりメニューも豊富で本格的だ。「くら寿司」に似た抽選ゲームもある。「くら寿司」などのやり方を真似た可能性もあるが、後発者利益で「いいとこ取り」をした結果、本家を負かすほど急成長している。
競争激化の中「スシロー」は勝ち抜けるか
SNSを見ていると、全国的には、今のところ、「はま寿司」や「スシロー」の人気が上回っているようだが、最近では四川省発の火鍋チェーンで有名な「海底捞」(ハイディーラオ)も回転ずしの業態に乗り出しており、業界はいわゆるレッド・オーシャン状態だ。中国では「内巻」(ネイジュエン=不条理な過当競争)とも言われる。お持ち帰り寿司専門の企業も多く、中国の都市部では日常的に寿司は好んで食べられている。本家である日本発の回転ずしチェーン店といえども、うかうかしていられないのが現状だ。
F&LCが今年2月発表した最新決算によると、スシローの中華圏(中国・香港・台湾など)事業は好調が続いている。中華圏が75%を占める海外事業全体の売上は前年同期比54.4%増、セグメント利益は同75.2%増と飛躍的な成長を記録している。
この大躍進の原動力は、右肩上がりの積極的な出店推移だ。F&LCは中華圏の店舗を25年9月期の160店舗から今年9月期には3割増やし、210~222店舗にすると発表している。昨年12月に上海に2店舗オープンした時点で、中国では71店舗をオープンしており、中国が中華圏の中核になることは確実だ。今後、中国全土で、どれほど売上を伸ばしていけるかが同社の海外事業にとって重要なカギになるといっていいだろう。


