有名レストランで起きた「大炎上」

12日に公開された中国メディア「南風窓」の記事によると、「スシロー」の好調ぶりを紹介するとともに、告発した顧客の誤解だった可能性を指摘。寄生虫の専門家の話として「報道写真を見る限り、アニサキスの特徴と一致していない。マイナス20度で24時間冷凍すれば、アニサキスの幼虫は死滅する」と紹介している。調査結果はまだ発表されていないが、このような報道も“追い風”となり、今のところ悪影響は出ていない模様だ。

だが、だからといって今後も「スシロー」が安泰かというと、必ずしもそうとは言えない。昨年9月、中国の有名レストランチェーン「西貝」(シーベイ)で食べた有名インフルエンサーが「店内で調理しているのかと思ったら、実際は『預制菜』(温めるだけの調理済み食品)ではないか。比較的高額な店なのに、これまで顧客をだましていたのか」とSNSに投稿。これに当初、同社が反論したことが火に油を注ぎ、創業者への批判も含め、SNSで激しいバッシングを浴びた。

2025年7月2日、鄭東万象城 西貝
SNSで大炎上した中国の有名レストランチェーン「西貝」(写真=Windmemories/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

その結果、顧客が激減した。今年1月、同社は全店舗の3割にあたる102店舗を閉鎖すると発表。4000人の従業員も転属や解雇となり、関連損失は5億元(約110億円)にも及んだ。SNSを見ると「温めるだけの食品を使うことが悪いわけではないが、隠していたように見えたことが印象を悪くした」という評価が多かった。

中国の回転寿司業界に「2つのリスク」

中国では企業でも個人でも、SNSを発端として世論から激しいバッシングを浴びる事例が日本とは比べ物にならないほど起きており、どこでどう導火線に火がつくかわからない。日系など外資も含め、こうした社会の環境は、とくに食品を扱う企業にとって不安材料、リスクの一つとなっている。

また、回転寿司業界の過当競争が激しさを増していることも、「ずっと安泰とは言えない」要因だ。中国に進出している日系回転ずしチェーンは同社のほか、14年に出店したゼンショーホールディングスの「はま寿司」があるが、後発の23年に上海に3店舗出店した「くら寿司」は不振が続き、25年末に閉店した。

不振の背景について、筆者は以前の記事「なぜ中国人は14時間待ちでもスシローが食べたいのか…2年で撤退した『くら寿司』との明暗を分けた出店戦略」で紹介した。

その後、上海在住の中国人の友人に取材したところ、「くら寿司は、上海の経営陣が台湾人であまり上海の状況をわかっていなかったことがあるのではないか。そして、くら寿司の真似をして人気が出た金匠きんしょう寿司の店舗が多く、金匠の勢いに勝てなかったことも敗因だと思う」と分析していた。