加齢とともに血圧が上昇するのは正常

そんなご時世に、塩分を控えるように勧めることに、どんな意味があるでしょうか。

そもそも夏場は、塩分を控えれば熱中症のリスクが増します。昔の青森県は夏も涼しかったですが、いまは暑い。だから熱中症のリスクを減らすためにも、塩分を1日に10グラム以上は摂取するように推奨すべきところを、減らすように訴えているのです。世界的なデータを勉強していないからでしょう。

それに青森県は、血圧の上が140以上、下が90以上だと要注意で、高血圧症の治療をすべきだとしています。しかし、各種調査の結果として、世界の多くの国で血圧は上が160程度で問題ないことになりつつあります。

日本でも2004年、総合健診医学会が70万人の健診結果から、統計的な方法で「男女別年齢別基準範囲」をつくりました。そこでは加齢とともに血圧が上昇するのは正常だと認められました。

2008年に発表された、日本人を対象とした住民追跡調査の結果も、それを裏づけます。60歳以上の男女で死亡率の上昇が見られたのは160/100以上だったのです。

いまでは55歳以上では男女ともに、160/100までの血圧は正常とみられています。

短命の原因こそしっかりと追究すべき

その後、2019年にイギリスが世界に先がけ、薬を飲むべき血圧は160/100以上でいいというガイドラインを出しました。140/90以下に抑えるべきだといえなくなっているのが、世界の流れです。

調査をすればするほど、高血圧と呼べるのは160/100以上だという結果に収斂しつつあります。

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和田秀樹『死ぬまで元気 88の読むサプリ』(新潮社)

現在のように社会の高齢化が進めば、血圧が上がるのは、ある種の適応現象です。下げる必要がない血圧を下げる降圧剤なんて、私にいわせれば無駄な薬の最たるものです。

青森県や秋田県は、ほかの県にくらべると多少、脳卒中で死ぬ人が多いかもしれません。しかし、それよりがんで死ぬ人のほうが圧倒的に多いという事実にこそ、目を向けるべきです。

2020年の青森県民の平均寿命は、男性が79.27歳、女性が86.33歳で、全国平均とくらべると男性が2.22歳、女性が1.27歳短いです。

短命である理由は調査する必要があります。沖縄県は高齢者の就労率が低いのが原因だとされます。一般に高齢者の就労率が低いと、短命になる傾向にあります。青森県にも同様の事情があるのかもしれません。

あるいは、青森県や秋田県はうつ病の人が比較的多いとされてきたので、その影響もあるかもしれません。うつ病患者が多いと40~50代で自殺する人が増え、平均寿命がかなり下がってしまうのです。

いずれにしても、時代錯誤と思われるキャンペーンをはじめる前に、短命の原因こそしっかりと追究すべきでしょう。短命の理由を短絡的に高血圧と結びつけるのは、私には愚かなことに思えます。

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