健康診断を受けるたびに薬が増える

いま70~80代の日本女性は、専業主婦の割合が高く、働いていた人もパートが多かったので、健診の受診率が高くありませんでした。一方、男性は多くの人が健診を受け、血圧や血糖値やコレステロールなどが高いと健康指導を受け、薬を処方されてきました。

ところが、健診を受診して健康指導を受け、薬を飲んできた男性のほうが、女性よりも平均寿命の延びが小さく、男女間の寿命の差はむしろ開いています。

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ここで二つの疑問が浮上します。「健康診断を受けることにどれだけの意味があるのか」という疑問が一つ。二つ目は、「健康診断を受けるたびに薬が増えるのは、好ましくないのではないか」という疑問です。

健康診断を否定するわけではありません。しかし、薬を飲まないことや、医師の健康指導を受けないことによる害は、日本の多くの医者や患者が考えているほど、大きくないのではないでしょうか。

医療に大きな期待をもちすぎない

アメリカで、高血圧の人が血圧を下げる薬を飲み続けた場合と飲まなかった場合を比較したら、6年後の脳卒中の発症率は、飲んだ人が5.2%で、飲まなかった人が8.2%だった、という大規模調査の結果があります。

9割以上の人が脳卒中にならないことからわかるのは、薬を飲まないことの害が、思われているほど大きくないということです。6年間も薬を飲み続けても5%の人が脳卒中になるということから、人間は意外に運命に勝てないこともわかります。

その「運命」を左右するのが体質や遺伝です。昔は平均寿命が短かったから気づきにくかったですが、最近は、長生きな親の子は長生きなのが見てとれます。

だからといって、すべてを運命にまかせるのがいいとはいいませんが、医療に大きな期待をもちすぎて、自分に大事なあれこれを我慢しすぎる必要はないとも思うのです。

薬も5種類以上の多剤併用は、副作用の影響等を考えると要注意なので、自分の病気のなかで一番深刻なのはどれかを見きわめ、やめられる薬はやめてみるのも悪いことではないと思います。