年齢を重ねても、現役で活躍し続ける人は何が違うか。医師の和田秀樹さんは「高齢者を十把一からげに『老害』と呼ぶのは、高齢者差別にあたる。高齢になると能力は衰えると思い込む人が多いが、そんなことはない。個人が長年にわたって、経験や学習などを通じて獲得する『結晶性知能』は生涯にわたって伸びる」という――。
※本稿は、和田秀樹『死ぬまで元気 88の読むサプリ』(新潮社)の一部を再編集したものです。
年齢で差別されてはいけない理由
フジテレビが中居正広さんの問題で揺れたとき、ある社会学者がテレビで次のように発言して、私は唖然としました。
「ふつうに考えて、87歳の方が巨大なグループの代表という立場にいて、人事権を行使している状況は異常だと思う」。
巨大なグループとはフジサンケイグループで、代表とはフジテレビジョンと親会社のフジ・メディア・ホールディングスの取締役相談役だった日枝久さんです。
しかし、こんな発言をすればアメリカでもヨーロッパでも韓国でも、年齢差別禁止法に引っかかるはずです。アメリカでは1967年から「雇用における年齢差別禁止法」で、採用、賃金、解雇、労働条件など、あらゆる場面での年齢差別が禁止されています。
EUでも2000年に「雇用および職業における均等待遇の一般的枠組みを設定する指令」が採択されました。
日本にも年齢差別禁止法はあります。ところが内容は限定的で、年齢差別を是正する取り組みといえば、「募集・採用時の年齢制限の緩和」などにかぎられます。
先に結論をいいましょう。日枝さんは「老害だ」という批判を浴びましたが、「87歳という年齢自体をとやかくいわれる筋合いはない」というのが私の考えです。読者のなかにも「じつは自分は老害ではないのか」と不安をいだいている方がいるかもしれません。
年齢を重ねながら経営を続けている方もいることでしょう。そういう方は脳の老化予防のためにも、やめずにがんばったほうがいい。私はそう思います。

