一番深刻な心不全の薬だけを飲む

私は高血圧と糖尿病、心不全をかかえていますが、一番深刻なのは心不全です。薬を飲んでいないと息切れしやすく、不自由で仕事にも支障をきたすので、体に溜まった水分やナトリウムを尿として排泄し、うっ血を改善し症状をやわらげる利尿剤を、飲みたくないけれど飲んでいます。かわりに血圧や糖尿病の薬はなるべく控えるという選択です。

そういう選択を、できれば自分でしてほしいと思います。

医者は自分が処方した薬は必要だと信じている場合が多いから、この薬のエビデンスはどうか、副作用はどうかと質問しても、嫌な顔をされるでしょう。でも、なんのための薬なのかと聞けば、答えてくれると思います。

処方薬を説明する女性医師と男性患者
写真=iStock.com/RRice1981
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飲むのをやめたら命に関わる薬もあるので、そこを見きわめるということです。

たとえば血圧や血糖値に関して、すごく数値が高い人はともかく、少し高いくらいなら、薬を飲むのをやめると体が軽くなったり、頭が冴えたりすると思います。これらの値が多少高いことで、寿命にどう影響があるのかわかっていないのですから、体が軽くなるほうを選ぶ手もある、ということです。

ある薬を飲むのと飲まないのとでどちらが長生きするか。それは薬を勧める医者にもわかりません。だったら、残りの人生のQOL(クオリティ・オブ・ライフ、生活の質)を上げるために楽なほうを選択するのは、一つの道だと思うのです。

青森県の時代錯誤なキャンペーン

青森県は2025年6月、私にいわせれば首を傾げざるをえないキャンペーンをはじめました。高血圧の早期治療や受診をうながすため、はじめて病院で降圧剤を処方してもらった県民は、抽選でQUOカードなどが当たる、というものです。

青森県民の平均寿命が全国平均より短い理由を、塩漬けや干物など、地域に伝統的に伝わる保存食文化に見出した結果です。青森県は「短命県返上をめざす」と息巻いています。

秋田県が減塩運動をはじめた1970年代は、秋田県ばかりか日本人全体で脳卒中が死因のトップでした。だから減塩運動に意味もありました。しかし、いまでは脳卒中で死ぬ人は、がんで死ぬ人の4分の1程度。青森県にしても脳卒中は死因の4位です。

現在、青森県民の1日あたりの塩分摂取量の平均は10.5グラム。厚生労働省が定める望ましい食塩摂取量は男性7.5グラム未満、女性6.5グラム未満とされますから、それよりは高いです。

しかし、世界17カ国の10万2000人に対する大規模調査で得られたデータでは、食塩の摂取量が10~15グラムの人が、死亡率は一番低いことが明らかになっています。

青森県が行っていることは、あらゆる意味で時代錯誤だと思うのです。

塩分を控えれば長生きできるというのは、脳卒中で死ぬ人が多かった時代の話です。

たんぱく質をしっかり摂って、日本人の血管が丈夫になった結果、出血型の脳卒中で死ぬ人は非常に少なくなりました。