日本の先行きを案じた若者の「頭脳流出」

実は、ここ1年ほどの間、外国為替市場ではインド・ルピーも、米ドルに対して下落した。それでも、インドは実質ベースで高い経済成長率を達成し、わが国の経済を上回る規模に成長した。人口増以外に、インドではAI、半導体などで自国企業を増やし産業を育成しようとする計画も明確だ。

わが国にとって、高い経済成長を実現することは難しくなっている。この状況は、短期間で改善できない。物価の上昇や社会保障費負担などで、私たちの生活負担は増えると懸念される。

今後、経済低迷が続くと、賃金と雇用の環境の不安感を持つ人は増えるだろう。最近、国内の高校を卒業した後、海外の大学に進学する10代の若者がじわじわ増えている。一旦、国内企業に就職して必要なノウハウや技術を会得して、その後、海外で起業する人もいる。知的資産の海外流出だ(頭脳流出)。その背景には、先行きへの不安の高まりがあるはずだ。

政策が「経済大国」の運命を左右する

その一方、マニュアルなどで明文化できる業務を、人工知能に任せるようになった。インドやASEAN新興国の安価、かつ豊富な労働力を活用するために、海外進出をより重視する企業もある。わが国経済の地位が低下すると、雇用と所得機会の喪失に直結する問題である。

また、高市政権による積極財政方針で、社会保障制度などを支える財政の懸念も高まる。インドのように人口が増加している国では、人口増が税収増を支える。対して、わが国では人口減少により社会保障関係費は増え、制度の持続性も低下した。

現在の経済状況が続くと、わが国の存在感はさらに低下するだろう。それが現実になると、国際社会での発言力は低下するだろう。

インドがわが国を追い抜いたことは、私たちの生活環境の厳しさが一段と高まった象徴といえる。私たちは、その意味を過小評価すべきではない。

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