S&P500やオルカンを買い漁る日本人

ここへ来て、わが国の人口減少・少子高齢化は深刻さを増している。国土交通省と総務省の調査によると、2024年4月時点での限界集落数(65歳以上が人口の50%以上を占める集落)は3万1515、調査対象の40.2%を占めた。

人口減少は、自力で国内の経済を運営することが難しくなる主な要因だ。わが国の企業は国内事業を縮小し、成長期待が高いインド、米国やASEAN新興国地域など海外事業をより重視するようになった。

製造業だけでなく、保険などの典型的な内需分野でも、海外戦略を拡充する企業は増えている。海外での買収などにより、国内から海外へ流出する資金は増えた。

そうした動きを映して、海外子会社は収益の4~5割程度を現地で再投資している。国内の企業が、海外で生み出した付加価値の半分程度が国内に戻っていない。成長期待の高い米国株など、海外の株式に資金を振り向ける個人や機関投資家も増えた。企業や投資家の海外重視姿勢は、円売り圧力を高めた。

ヒト、モノ、カネが海外へ流出していく

円安の進行は、私たちのくらしにプラスとマイナスの影響を与える。プラス面として、輸出の増加がある。例えば、自動車や工作機械など競争力がある分野では、円安により企業業績はかさ上げされる。それは株価の上昇、増配、さらには賃上げに必要だ。

一方、プラスの面以上に、近年のわが国にとって円安のマイナス面は増えた。その一つは物価上昇だ。足元で、イラン戦争によって原油価格が上昇した。周辺海域での商船運航リスクの高まりも物価押し上げ要因になる。

長い目で見た円安や輸入物価上昇で、わが国のインフレ懸念は一段と高まるだろう。物価の上昇は、私たちの日常生活にとって重大なマイナス要素だ。

ただ、私たちにとって、日本経済の地位低下の影響はリアルタイムで実感しづらい。つまり、じりじりと日常生活の重しとなってのしかかってくる。ラクダの背に藁を積み上げていくと、いずれラクダは自力で立ち上がることができなくなるのと同じ原理だ。

長い目で見ると、わが国の経済の実力が低下すると、海外へのヒト、モノ、カネの流出は加速する。それにより、物価の安定や経済成長を目指すことは難しくなる。インドがわが国を追い抜いたことは、そうした負の影響が増えるきっかけの一つとみるべきだ。