モディ政権の物価高対策、一方日本は…
対照的に、近年のインド経済は好調だ。2025年10~12月期の実質GDP成長率は、前年同期比7.8%増だった。前期の公共投資の反動減で、GDP成長率は7~9月実績を下回った(減速した)。それでも、世界的にみて実質GDP成長率の水準は高い。
インド経済の高成長の原動力は、人口ボーナス(人口増加による経済へのプラス面)だ。2023年、インドは中国を抜いて世界第1位の人口大国に成長した(当時の人口は14億3800万人程度)。2060年代までインドの人口は増加する見通しだ。
人口が増加すると、当然、個人の消費は増加する。自動車や家電などの耐久財、赤ちゃん用品、ペット用品など消費財を中心に、中長期的な需要増が期待できる。
また、今のところ、インドのインフレ率は抑制されている。これは、ウクライナ戦争が発生する前と後での大きな変化だ。インドは、エネルギー資源などを輸入に頼ってきた。そのため、原油などエネルギー資源の価格が上昇すると、インフレ率は上昇しやすかった。
しかし、2022年4月、消費者物価指数が前年同月比で7.8%上昇して以降、インフレ率は鈍化した。足元は2%台だ。モディ政権がロシア産の安価な原油輸入を積み増した。その影響は絶大だ。原油の輸入価格下落により、インドは物価を抑えつつ、個人消費を拡大させることができている。賛否両論あるが、物価高を抑制できているのは、わが国の経済と対照的である。
iPhoneの生産拠点も中国からインドへ
人口増加による都市開発やインフラ整備により、公共投資、企業の設備投資も増加する。設備投資の増加は鉄鋼、石油化学、機械、自動車などの工業化の加速を支える。工業化の加速には、多国籍企業の脱中国も影響した。いわゆる、産業拠点の地殻変動だ。
これまで、希土類(レアアース)、汎用型の半導体、医薬品などの分野で世界の企業の中国依存は高かった。中国は、台湾に対する圧力も引き上げた。そうした中国依存のリスク引き下げ、地政学リスクの分散、そして人口増加による安価かつ豊富な労働力の確保ができると、ASEAN新興国やインドに事業拠点を移管する企業は増えている。
アップルがiPhoneの主たる生産拠点を、インドに移管したのは代表例だ。わが国でも、製造業、非製造業の両分野で、中国からインドなどへ経営資源を配分する企業は増えた。

