政策変更でインフレからデフレへ

もっとも、タイミングやバランスがむずかしい政策であることは間違いありません。

出口治明『日本史の極意』(SB新書)
出口治明『日本史の極意』(SB新書)

綱吉時代末期、地震や富士山噴火などでまたまた幕府財政は悪化します。荻原重秀は再び貨幣改鋳で乗り切ろうとしますが、この「宝永の改鋳」は不作が重なったこともあって経済に混乱を引き起こし、物価高騰を招いてしまいます。

6代将軍・家宣(将軍在任1709~12)の顧問役をつとめた儒学者の新井白石は荻原重秀の貨幣改鋳を「あんなもんごまかし、インチキやないか」と嫌悪し、金の含有量を元に戻します。すると今度は貨幣の出回る量が少なくなってデフレに振り切れ、米の値段が3分の1にまで下がります。武家から農民まで収入減に直面し、さらには直後に将軍が死去するなどの出来事が重なり、白石はクビになります。

適切なマネーサプライがインフレやデフレを調整し、人々の暮らしと政府財政を左右する。これは現代の経済政策においても変わっていません。

【関連記事】
天才絵師の最期はあっけなかった…「べらぼう」で染谷将太演じる歌麿の転落の契機となった絵に描かれた人物
石田三成と戦っていないのに関ヶ原合戦後に大出世…徳川家康が厚い信頼を置いた「戦国最大の悪人」
他の絵師の春画とはまったく違う…「べらぼう」で染谷将太演じる歌麿だけが執拗に描いた"女性の身体のパーツ"【2025年7月BEST】
神絵師として美人画で天下をとったのに、なぜこんなことに…NHK大河で染谷将太が演じる歌麿の悲劇的な最期【2025年5月BEST】
息子を「種馬」にして26男27女を作らせる…NHK大河で生田斗真が演じる一橋治済が起こした「徳川家乗っ取り計画」【2025年5月BEST】