人の気配がない闇のなか、民家から電気の明かりが漏れている。それは、原発事故で被災した福島県・富岡町で、避難指示が解除された2022年のことだった。

闇夜に浮かぶ明かりを目にするたび、川内有緒さんの脳裏にこんな思いがよぎった。

川内 有緒
ノンフィクション作家。国連機関職員等を経て執筆の道へ。『空をゆく巨人』で開高健ノンフィクション賞を受賞。近年はドキュメンタリー映画の監督も務める。映画『ロッコク・キッチン』は2月より全国で順次公開中。

「『あのおうちでは、いま何を食べているのかな』『どんな料理を作っているんだろう』……。そんな疑問が頭から離れなくなってしまって。ロッコク沿いで暮らす人たちに食にまつわるエッセイを募集しようと思ったんです」

(インタビュー・文=山川 徹 撮影=小西範和)
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