なぜ猛烈に忙しい人が若手を手伝うのか
でもある日、Hさんが会議資料をファイリングする手伝いをしていたんです。資料作りではなく、出力した資料に穴をあけ、ファイリングする雑務です。言葉を選ばずに言えば、ファイリングなんてぼくのような下っ端にやらせておけばいいタスクです。そして実際、入社1年目~3年目のメンバーが呼ばれてファイリングをするように指示を受けていました。
そこに、ものすごく忙しかったであろうHさんも来て、一緒に作業をしてくれたんです。
「Hさんは一体なにを考えているんだろう……?」
ぼくは不思議で仕方がありませんでした。仕事術の理論で言えば、これはHさんがやるべきことではありません。しかし、彼は率先して手伝っていたんです。
実は、ここに「仕事ができる人」の本質がありました。しかし残念ながら、ぼくはその意味に気づくことができませんでした。
「相手の負荷を減らす」という意識
業務効率化や時短、生産性向上の視点で考えると、どうしても単純作業や人に任せられる仕事は誰か他の人に任せるという発想になりがちです。たしかにそれも必要かもしれません。でも、単に仕事を人に任せれば「仕事ができる人」になるかというと、そうではありません。むしろ逆です。
実際、仕事を右から左に受け流しているだけの人は、仕事ができる人とは思われないでしょう。自分は何もせず人に任せてばかりの人は反感を食らい、逆に評価を下げてしまうと思います。
ここに仕事ができる人が共通して持っていた、重要な認識があります。
結論を言うと、「仕事ができる人」とは、「相手の負荷を減らせる人」です。ぼくは3万人以上のビジネスパーソンを見てきました。業界はさまざまですが、仕事ができる人は例外なく「相手の負荷を減らすこと」を考えている人でした。
「相手の負荷を減らす」には、大きく分けて二つあります。
一つ目は「相手の脳内ストレスを減らすこと」、そして二つ目は「相手のタスクを肩代わりすること」です。

