ペンネームの変更が「隠蔽」と捉えられた
新たに明らかになった『星霜の心理士』原作者の再起用については、小学館側の発表によると、十分な期間を置き、本人の反省の姿勢等を踏まえて慎重に行われたもののようだ。こちらに関しては擁護的な意見も少なくない。
漫画の世界に限らず、問題を起こした人物の復帰を支援することは、むしろ好ましいこととして捉えることもできるだろう。しかしながら、今回は発覚したタイミングが悪すぎたし、ペンネームを変えて起用したことは悪手であったように思う。
小学館はペンネームを変えたことに対して、「被害者への配慮だ」と説明しているが、真意はさておき、「隠蔽を図った」と捉えられてもやむを得ないし、読者を欺く行為だったと言って過言ではないと思う。
ペンネームを変えるのであれば、そのことを事前に説明した上で復帰させるべきであったと思うし、被害者に配慮するのであれば、ゴーストライターのような形で、完全に表に出ない形での復帰も考えるべきだっただろう。
いずれにしても、「被害者への配慮」だったはずが、かえって目立ってしまい、逆効果になってしまった。
フジテレビ―中居正広氏、あるいは日本テレビ―国分太一氏の問題を思い出してもらうとわかると思うが、プライバシーの配慮を理由に情報を公開しないと「隠蔽している」との誹りは免れない。一方で、公開したらしたで、二次加害が起きてしまう可能性があると同時に、「配慮が足りない」と批判されてしまう。
小学館も同様のジレンマに陥ってしまったと言えるだろう。今後、小学館には関係者のプライバシーに配慮しながら説明責任を果たす――という難しいかじ取りが求められることになる。

