「CM総取り下げ」を招いたフジの姿勢

小学館にとって説明が求められるのは、加害―被害の具体的な中身ではなく、担当編集者、および会社がどのように今回の事案に関与していたのかという点だ。

フジテレビ―中居正広氏の問題でフジテレビが「ほぼ全てのCM取り下げ」という危機的な状況に陥った一方で、日本テレビ―国分太一氏の問題では、日本テレビは批判こそ浴びたが、危機に陥ることはなかった。

この違いは初動対応の是非による部分も大きいが、会社としての事案への関わりも大きい。フジテレビの場合は、不祥事に同社の編成幹部が関与していたこと、経営陣が問題を知りながら適切な対応を取らなかったことから、多くのスポンサーがCM放映を自粛する事態となり、企業自体が危機に陥ることとなった。

「組織ぐるみ」でなくても「組織レベルの問題」にはなり得る

小学館の場合はどうだろうか? 「週刊文春」の報道に反論する形で、小学館が表明を出している

それによると、

● ペンネームを変えて連載を開始したことは会社として認識していなかった

● 会社ぐるみの関与はなく、被害者への和解協議に対しても担当編集者から法務部に相談があった際に「弁護士への委任を山本章一氏(原作者)に促すよう指示していた」

とのことだ。

詳細は第三者委員会で調査されることになるはずだが、小学館の発表内容が第三者委員会の報告で裏付けられれば、「組織ぐるみ」ということまではならず、経営危機に陥るところまではいかないのではないかと思う。

しかしながら、編集長レベルまで把握していたということであれば、「組織ぐるみ」とは言えなくても「組織レベルの不祥事」と見なすことができる。さらに、編集者レベルで行われていたことだとしても、会社がそれを把握できていなかったことは、やはり「組織レベルの問題」と見なさざるを得ない。

この点において、小学館はこれから十分な説明責任を果たす必要がある。

小学館本社(4代目小学館ビル、2016年12月撮影)
小学館本社(4代目小学館ビル、2016年12月撮影)(写真=Kounoichi/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons