他にはないユニークな仕掛け

尾根伝いに登ってくる敵を防ぐため、二重、三重と堀切が連続するのは全く珍しくない。というか山城、特に城端の尾根では極めて一般的だ。

しかし、登山道の写真をよく見てほしい。三日月型の堀切外側の輪郭が、凸凹している。堀底まで降りて、側面からみるとより明確にわかる。

右上が城内側。左手の城外側に向けて竪堀が連続して落ちている
撮影=今泉慎一(風来堂)
右上が城内側。左手の城外側に向けて竪堀が連続して落ちている

堀切に接するように、畝状竪堀が掘られているのだ。湾曲する空堀の縁から、熊手のように外向きに放射状に伸びている。いかにもそれがありそうな急斜面には一本だけ。そしてなぜか堀切の外側に畝状竪堀。ややマニアックだが、いくつか山城に足を運んだことのある人なら、「なぜそこに?」と思うに違いない。実際、筆者もそうだった。

ダメ押し的に城端に現れる多重堀切

そして、さらにその畝状竪堀の真下にも――。

畝状竪堀の上から。看板の先の尾根状もデコボコしている
撮影=今泉慎一(風来堂)
畝状竪堀の上から。看板の先の尾根状もデコボコしている

尾根をズバリと断ち切る堀切が、二重か、あるいは三重以上にも連なっているようにも見える。堀切を連続させるのはよくわかる。が、その堀切と堀切の間になぜ、畝状竪堀を設けたのだろうか。

山城は元々の地形的制約があるため、とかく個性的になりがちだが、菩提山城はその筆頭と言っていい。謎めいていて、かつ堅固。いずれかが際立つ山城に出会うことはよくあるが、両者を併せ持つケースは極めて珍しい。半兵衛か、あるいは父・重元の手によるものか。