秀吉の出世を大きく助けたという軍師・竹中半兵衛。大河ドラマ「豊臣兄弟!」(NHK)では菅田将暉が演じている。竹中氏の築いた山城・菩提山城を訪ねた今泉慎一さんは「城跡に行ってみて、急斜面に築かれた竪堀や空堀などの防御機能に驚いた」という――。
天才軍師が父から譲り受けた山城
第5回 菩提山城(岐阜県垂井町)
ついに「豊臣兄弟!」(NHK)にも竹中半兵衛が登場した。黒田官兵衛とともに「両兵衛」として、秀吉の片腕となり天下取りに大きく貢献した名将。今回の大河で演じるのは菅田将暉。シュッとした顔立ちの切れ者の風体で、いかにも頭の切れる半兵衛らしい半兵衛といえる。
半兵衛ははじめ斎藤家に従っていたが、のち美濃攻めにより稲葉山城が落城すると、織田家に降る。そして、その後は生涯にわたって秀吉に仕えることになる。
美濃の豪族・竹中氏の居城は、西美濃にある菩提山城(図表1①岐阜県垂井町岩手)。半兵衛の父・竹中重元が、元々の城主・岩手氏を滅ぼし、1559(永禄2)年に拠点としたと伝わる。菩提山の標高は401m、比高は335m。麓から登るルートもあるが、北へ迂回する林道を利用すれば中腹、標高350mあたりまでは車で登ることもできる。
秀吉に仕えて各地を転戦していたため、半兵衛が自身の居城とセットのイメージはあまりない。だが、この菩提山城が、戦国の山城の中でも類を見ないほど個性的なのだ。
主郭は見晴らしの利く好立地
まずは山頂部にある主郭から見ていこう。主郭の東は腰曲輪があり、その下は断崖。自然地形のままでも防御力は充分だ。濃尾平野方面から攻め登っても、この断崖に阻まれるはずである。
眺望は見事なまでに開けており、濃尾平野一帯を見渡すことができる。城から南東を眺めると濃尾平野、南西に目を向けると関ヶ原。美濃や尾張のみならず、関ヶ原盆地も見晴らせる。ということは、その向こうの近江までもにらみをきかせられる好立地。ここを奪って本拠とした竹中重元の戦略眼は敬服に値する。そして、その血を引く半兵衛もまた、菩提山城の価値を存分にわかっていたのは間違いない。




