大河ドラマ「豊臣兄弟!」(NHK)で秀吉の成功談として描かれた「墨俣一夜城」。墨俣など秀吉関連の城を探訪した今泉慎一さんは「秀吉が敵を驚かせ動揺させる一夜城を作ったのは、美濃攻めの時だけではない。中でも効果抜群だった知られざる城がある」という――。

美濃攻めに必要だった墨俣制圧

第4回 墨俣城(岐阜県大垣市)・石垣山城(神奈川県小田原市)・益富城(福岡県嘉麻市)

「まさかたった一夜で炎上するとは!」「一夜城ってそういうことだったの?」と、「豊臣兄弟!」第8話を見た人の間で、意外な方向で話題になっている墨俣一夜城(図表1①岐阜県大垣市墨俣町墨俣1742)。「敵の攻撃の隙を突いて一晩で城を出現させた」という築城エピソード、その真偽はともかく知名度だけは抜群だ。

中洲の先端に位置する墨俣城。現在の長良川は右奥の土手の向こう
撮影=今泉慎一(風来堂)
中洲の先端に位置する墨俣一夜城(大垣市墨俣歴史資料館)。現在の長良川は右奥の土手の向こう
1891(明治24)年再建の墨俣宿脇本陣。田中哲司演じる安藤守就の子孫が江戸時代には脇本陣役を務めた
撮影=今泉慎一(風来堂)
1891(明治24)年再建の墨俣宿脇本陣。田中哲司演じる安藤守就の子孫が江戸時代には脇本陣役を務めた

つまり交通の要衝で、墨俣を制したことが、織田家にとって美濃攻めを一気に前進させたのは間違いない。

誰も真似できないような大胆な行動を、生涯でたびたび決断し実行した秀吉。墨俣一夜城はその代表例ともいえるが、秀吉の一夜城エピソードは、実は墨俣だけではない。

【図表1】墨俣一夜城の位置
【図表2】戦国の城5技能採点表「墨俣城」