前首相・石破との意外な共通点

【三浦】安倍さんはその点はすごかったんですよ。何か一言、言われたときに、経験に照らし合わせてパパッと応用展開する能力というのは、ずば抜けていたと思いますね。だから、どちらかというと高市さんのスタイルは、石破さんにすごく似ていると思います。外食の回数が少ないのも含めて、自分で一から本を読んでわかった考えでないとどうしても腑に落ちないという点で。

石破茂前首相
写真=Wikimedia Commons
石破茂前首相(写真=内閣官房内閣広報室/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

しかし、そのプロセスをありとあらゆる問題について実施できるほど首相というのは時間がありません。知の巨人ではないわけですから。ジェネラリストは、言葉のキャッチボールをしながら、驚くほど素早く物事を把握するんですよね。安倍総理はそういった意味でジェネラリストでした。

【編集部】そうすると今後、総理として物事を成し遂げていく人物としては、高市さんは少し資質に欠けるところがあるのでしょうか。

【三浦】いや、安倍さんがすごすぎたので、安倍さんではないよっていうことです。岸田さんは岸田さんで、菅さんは菅さんで、別の強みを持っていたので、それで各々、何とかしていたわけです。

安倍・岸田にあって高市首相にないもの

【三浦】高市さんの強みは、少なくとも15分から30分くらいの立ち話や写真撮影の場で、記者がバシャバシャ写真を撮っているあの間でのトークや立ち居振る舞いですね、彼女が一番輝くのは。踏み込んだキャッチボールをする外交の場は、レベルが高いものです。各国首脳はいずれもエリートで世界史的な把握に優れ、英語はもちろん堪能。

そういった人たちと臨機応変に、分厚い資料を手繰らずにしゃべらなければいけないというのは、普通の日本人にはできません。石破さんが外交での立ち話に加わらないというのがよく批判されていましたが、それは高市さんだって10分程度の社交時間を除けば同じことでしょう。

安倍さんは総理の期間が長かったし、人間関係も積み重ねていますから、軽口から本質的なやり取りまで含めて話すものがあるわけです。岸田さんも外務大臣経験に助けられたでしょう。

高市さんの場合は総務大臣しかやっていない状況で、いきなり外交デビューですから、それは全然違います。つらいと思います。ニュースで目にするのは記者が入っている短い間のものばかりですから、はた目から見るとうまくいっているように見えますけれど。