もちもち食感のあん巻きが誕生するまで

お亀堂があん巻きの販売を始めたのは2000年。ちょうどその頃、京都のもちもち食感の和菓子が脚光を浴びていた。「この食感を、あん巻きで実現できたら面白い」と石川専務が閃いた。

すぐに商品開発に着手。小麦粉に、餅粉、米粉、いろいろなものを混ぜて、「作っては違う、作っては違う」とグラム単位で配合を変えながら焼いてみることを繰り返した。

小麦粉に餅粉を多く加えると、もちもち感は増すが、冷めると固くなり、膨らみが弱くなる。「まずは、小麦粉に対して“もちもち感を出す何か”をどれだけ加えると、固くならずにもちもち感を最大化できるのか。その限界値を知るところからはじめました」

もちもち感の秘密は原材料の黄金比率
撮影=山田智子
もちもち感の秘密は原材料の黄金比率
あん巻き
撮影=山田智子

黄金比率がわかると、石川専務は次に「何」でもちもち感を出すかを探った。「全国各地からさまざまな素材を取り寄せて、延々と試していきました」。

年間100万個を売り上げる看板商品

何十種類と素材を試した末に辿り着いたのが、青森県産の「もち小麦粉」だった。もち粉や米粉を入れなくてももちもち感を出せる不思議な小麦粉。しかしこの小麦粉は青森県外では販売していなかった。「希少な小麦粉で、何度もお願いして、ようやく数量限定で分けてもらえることになりました。今でも毎月決まった量を直接青森から仕入れています」。

このもち小麦粉に、愛知県産小麦のきぬあかりや卵などを加えて、独自のもちもち食感を実現したあん巻きは、2015年にあいちのお菓子総選挙にて理事長賞受賞。伝統的な製法で風味を大切に炊き上げた極上あんと、これまでのあん巻きの常識を覆すもちもちの皮を実現したお亀堂の高い技術が評価された。翌年3月から豊橋駅のキヨスク(現PLUSTA Gift等)でも販売を開始し、年間100万個を売り上げるお亀堂の看板商品になった。

年間100万個売り上げるお亀堂のあん巻き
撮影=山田智子
年間100万個売り上げるお亀堂のあん巻き