スズキ、ついにトヨタに次いで国内2位

2025年4月から12月(9カ月間)におけるスズキの軽自動車販売台数は、40万9000台(前年同期比3.8%減)。軽市場のシェアは33.7%で首位。

登録車と軽を合わせた同期でのスズキの販売台数は52万8000台(同2.2%増)。国内自動車市場のシェアは16.2%となり、トヨタに次いで2位だった。

自動車とビールに共通するのは、ともに税金の高い担税製品という点だ。ビールの酒税は国税、自動車税は地方税(登録車は都道府県税、軽は市町村税)。

ともに激しいシェア競争に晒された点でも共通するが、大きな違いがある。

ビールは上位2社が販売数量の公表をやめたのに対し、自動車業界は登録車の登録台数も軽自動車の届出台数も、各社は定期的に公表し続けているのだ。絶対値を誰もが把握できる。

ビール類は2026年10月、もともとはビール、発泡酒、第3のビールと3層あった税額が統一される。1994年にサントリーが本邦初の発泡酒を商品化してから、財務省主税局にとって税額統一は30年越しの悲願だった。

ただし、ビール類市場の市場規模は表されない。消費者の酒税に対する意識は、希薄化されるのではないか。

日頃は敵対する4社が共闘し、2001年末に発泡酒の増税を阻止した歴史がある。“税の神様”と謳われた山中貞則・自民党税制調査会最高顧問が、「○」(受け入れ)と認めたのに、ビール業界は“ご神託”をひっくり返してしまう。

ひっくり返せたのは、消費者から支持を得られたことが大きかった。4社の経営トップは街頭で署名活動まで行い「増税阻止」を訴えたが、各社とも出荷数量を精密に開示し続けていたのは背景にあった。発泡酒の出荷量は開示され、増税に対象となっていた発泡酒がどのくらい伸びているのかも、誰もが把握できる形になっていたのだ。

仮に発泡酒の実体が分からなければ、消費者に関心そのものをもってもらうことはできなかったろう。

税制改正は26年10月で、完全に終わるわけではない。国の財政赤字が続く限り、酒税改正はこれからも起こり得る。そのとき、絶対値の分からないものに対し、民意を得られるのか。徹底した情報開示は求められるし、その原点は数字、それも絶対値であるべきだ。

なお、気難しい性格で知られた山中貞則だったが、8歳年下の鈴木修を弟のように可愛がり、人間的な信頼を寄せていた。

「前年並みとは100%を超えたものを指す」

それはともかく、鈴木修は言った。

「例えばある地方都市の税収が、前年は1000億円だったとしよう。これが今期は98.1%になった。役人は『前年並みで、まずまずです』と間違いなく言うだろう。

冗談じゃない。1000億円の1.9%といったら19億円にもなるじゃないか。

永井隆『軽自動車を作った男 知られざる評伝 鈴木修』(プレジデント社)
永井隆『軽自動車を作った男 知られざる評伝 鈴木修』(プレジデント社)

同じことは会社のなかにもある。人事評価がそれだ。成果が(前年比)98.9%で『ハイ、前年並みでした』と社員は言う。前年並みというのは103%とか105%と、あくまで100を超えたものを指すんだ。

給料を上げたのに、『結果は(前年比)99%で、まずまずでした』と言う社員もいる。バカ言うな! 給料を上げたというのは1年間経験を積んだから、前年よりも多くの成果が求められるんだ。でなければ困るんだよ」

「僕は世界中を飛び回るが、英語を話せない。なので、いつも通訳を使う。それでもまったく問題ない。コミュニケーションの原点は数字、それも絶対値にあるからだ。絶対値をきちんと示すことは基本にある。

海外のビジネスマンと長年接して思うのは、日本語とは曖昧な言語であるということ。日本語で『どうだ』と聞くと、『まあまあです』と相手は答える。大阪の人なら『ボチボチでんな』などとも言う。

こんな表現が世界で通用するわけがない。『まあまあです』ではなく、『5個です。6個です』と、具体的な実数を示さなければ、相手は納得してはくれないんだよ。もちろん、数字を示さないと心は通じ合えない。数字に厳しい外国人ビジネスマン、海外の取引先もきちんと絶対値を示せば納得してくれるものだ」

絶対値を示さなければ、何も通じない。人も会社も、そして社会も、動かないのである。

【関連記事】
だから日本人の「百貨店離れ」が進んでいる…三越伊勢丹HD元社長がルイ・ヴィトンを絶対に入れなかった理由【2025年8月BEST】
トヨタでもサントリーでもない…ハーバード大学経営大学院が教材にする従業員850人の日本の同族経営企業
「出光は社員を1人もクビにしない」経営難でも1000人以上を雇い続けた出光佐三の不動の"経営哲学"
利回り7%超の銘柄がゴロゴロある…お金の専門家が保有する「高配当&株主優待」合わせ技5銘柄【2025年7月BEST】
「本当のお金持ち」はポルシェやフェラーリには乗っていない…FPが実際に目にした「富裕層のクルマ」の真実