面接対策の9割は「基本の徹底」にある

就職や転職の相談に乗っていると、かつての私と同じ失敗をしている人が意外と多い。「変化球」ばかりを気にして、基本的な質問に答えられないのだ。

冷静に考えてみてほしい。面接において突拍子もない「変化球」が来る確率はどれくらいだろうか。

実体験から言えば、全体の1割もない。9割以上は「なぜこの会社なのか(志望動機)」と「あなたはどんな人間か(自己分析)」という、ごく基本的な質問で構成されている。

つまり、採用面接において最も大切なアドリブ対策とは、「志望動機と自己分析」を徹底的に行うことだ。

「自分は何者で、なぜここで働きたいのか」

この核さえしっかりしていれば、どんな質問が来てもブレずに答えられる。突拍子もない質問に対する準備など、後回しでいいのだ。

「感情日記」でネタをストックする

基本を固めた上での「第二ステップ」としておすすめしたいのが「最近の出来事」への対策だ。

「最近面白かったことは?」「最近怒ったことは?」

これらは自己分析にもつながる質問だが、準備をしていないと案外答えられない。

そこで私が提案したいのが「感情日記」だ。

やり方は簡単だ。短くてもかまわないので、その日に抱いた「感情」を書き留めておくだけだ。面白かった、怒った、悲しかった、うれしかった、悩んでいる……。どんな出来事に対してどう思ったのかを1日1つでもいいから記す。1週間続ければ7個の「感情のネタ」ができる。面接の前にそれを読み返すだけで、アドリブにかなり強い人になれる。

私は気象キャスターになってから、スマホの音声入力を使ってこの日記を試していた時期がある。寝る前に吹き込むだけで3分もあれば終わるこの日記が本番で役に立った。

気象キャスターとしてレギュラー番組を持った初日のこと。

放送終了まで残り15秒というタイミングで、メインキャスターから突然こう振られた。

「きょうからレギュラーの佐藤さん、最近筋トレを始めたそうですが、得意な部位とかあるんですか?」

バーベルスクワットで下半身を鍛えている男性
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです

事前の打ち合わせにはない質問だ。放送終了まで残り10秒を切っている。

やばいと思いながら、私は反射的にこう答えた。

「最近胸が大きくなって、服がきつくなってました!」

スタジオは笑いに包まれ、番組はいい形で終わった。

もっと時間があればよりよい回答ができたと思う。ただ、初めてのレギュラー番組、生放送の残り10秒という緊張する場面で少しでも内容があることを言えたのは、日記のおかげだった。

「服がきつくなって買い直すことになった。お金がかかるなあ」という「悩み」を記録していたからだ。

1週間、自分の感情をストックする。それだけで、あなたは「とっさの一言」が出る人になれる。