上田晋也さんが語った「普通のことを言う勇気」

以上が、アドリブ力に対して事前にできる「準備」だ。

それでも、面接での予想外の質問に不安を感じてしまう人はいるだろう。準備していない質問が来たとき、どうすればいいのか。

その答えは、くりぃむしちゅーの上田晋也さんの言葉にある。

今年1月、日本テレビ系の番組『アナザースカイ』で「どうやったら面白いことを言えるようになるか」と問われ、上田さんはこう答えた。

「普通のことを言う勇気をもつ」

これを聞いて私は膝を打った。

私なりにこの言葉を解釈すると、「つまらなくても、カッコ悪くてもいい。それでも正直に思ったことを言う勇気をもつ」ということだ。

かつて、ある番組のオーディションを受けたときのことだ。

面接官から唐突に「好きな動物は?」と聞かれた。

私は焦った。「何かインパクトのあることを言わなければ……」

頭の中を必死に回転させた。

(コモドドラゴン……いや、エリマキトカゲか? 何か珍しい動物を言わないと埋もれてしまう!)

数秒間、沈黙が流れた。

面白い答えを探して迷走したが、私は観念して、絞り出すようにこう答えた。

「……犬です!」

つぶらな瞳で見つめてくる柴犬
写真=iStock.com/KAT_TAKA
※写真はイメージです

すると、張り詰めた空気の面接会場で、ドッと笑いが起きたのだ。

「迷ってそれ? 普通すぎない?(笑)」

面接官のツッコミに対し、私はもう開き直って素直に返した。

「そうなんです。エリマキトカゲと言おうか迷ったんですが……なんだかんだ、犬が一番かわいいと思ってます」

結果は、合格だった。あとから聞いたら犬と答えたのは私だけで、最も「普通」だった私が選ばれたのだ。

オーディションという特殊な場だけの話ではない。就活や転職の面接でも、本質は変わらないと思う。普通のことを言うことができるのも個性なのだ。