「生成AIの普及」を背景に、企業の採用で「エントリーシート(書類選考)の廃止」の動きが広まりそうだ。かつてアナウンサー試験に100社以上落ちた経験のある気象予報士の佐藤圭一さんは「私は100以上の質問に対して『面接官が納得する回答』を作成し丸暗記して挑んだが、この準備は大間違いだった」という――。
面接
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面接は「アドリブ力」の時代へ

就職や転職の採用試験が、今まさに変わろうとしている。

その象徴が、2025年末にロート製薬が発表した「エントリーシート(書類選考)の廃止」だ。同社は廃止の理由として「生成AIの普及」を挙げている。

今の時代、チャットGPTなどの生成AIを使えば、誰でも完成度の高い志望動機や自己PRが一瞬で作れてしまう。だからこそ、企業は書類を見なくなった。

では、どこで合否が決まるのか。これまで以上に重要視されるのが、目の前でどう反応し、どう対話できるか。つまり、生身の「アドリブ力」だ。

「アドリブなんて才能だ。口下手な自分には無理だ」

そう思ってしまう人も、安心してほしい。私はかつて、面白いことを言おうとして空回りし続けた経験がある。アナウンサー試験に100社落ち、プロになってからも「どうすればアドリブ力がつくのか」を模索する日々が続いた。

数々の失敗をして試行錯誤を続け、いまでは「アドリブが好きだ」とすら思えるようになった。そんな私が15年かけて見つけた、「口下手な人のためのアドリブ対策」をお伝えしたい。面接でのコミュニケーションに不安を覚えている就活生や、転職を考えている人に、きっと役立つはずだ。

変化球の対応策に追われ自滅した日

採用面接においてのアドリブ力とは、簡単に言えば「質問に対して的確に答える力」だ。しかし、多くの人がここで勘違いをしてしまう。

インターネットで検索すれば、「あなたを動物に例えると?」「無人島に何を持っていく?」といった、就活生を不安にさせる突拍子もない質問例があふれている。

アナウンサー志望だったかつての私も、そうした「変化球」への対策こそが重要だと思い込んでいた。

「アナウンサーといえば、機転の利いたアドリブだ」

そのイメージを信じて、ネット上の「奇問・難問集」を拾い集め、100以上の質問に対して「面接官が納得する回答」を作成し、丸暗記して挑んだ。

しかし、この準備は大間違いであったことを突き付けられる。

あるテレビ局の面接で、1分間の自己紹介と簡単な雑談のあと、こう聞かれた。

「で、なんでアナウンサーになりたいの?」

頭が真っ白になった。

変化球への対策に必死になりすぎて、直球の、一番大切な「自分の志望動機」がわからなくなってしまっていたのだ。その場でしどろもどろになり、適当な答えでお茶を濁した。当然、落ちた。