「タイパ」「機能性」では肉に敵わない
自分にとって「美味しい」ことよりも、他者から見て「美味しそう」に見えることが大切なのです。しかし、「食」の価値がここまで変容する状況はやはり不自然です。
中には写真を撮影し発信しただけで満足し、食べ物自体は廃棄してしまう非常識な者までいます。
他者の評価を得るための「食」が蔓延する時代にあって、私たちは「食」をもう一度見つめ直す必要があるようです。
世界では物量的な食料不足がリアルな問題となりつつある一方で、日本の若者の間でこうした自己顕示のための「食」が広がっていることを、筆者は深く危惧します。
次は「タイパ」を重視する簡便化志向についてです。何かと忙しい現代人にとって、時間の価値は増大し続けています。
それを背景に、短時間で準備できて消費もできる食品、つまり即食型加工食品の消費が増えているのです。
魚をスーパーで選んで買う、家まで持って帰る、キッチンでそれを調理し煮魚や焼き魚にする、どの工程も手間と時間がかかります。水産物を家で調理して食べる生活は、今の若者にとってタイパが悪いのです。
ルッキズム時代の象徴的な人気食品
そうした若者のニーズに迎合するように、スーパーの惣菜売場には煮魚や焼き魚が、またコンビニではレンジでチンすれば食べられる「袋物惣菜」としての煮魚や焼き魚が売られています。
たしかにタイパはいいかもしれませんが、加工経費が価格に上乗せされるためにコスパは悪く、残念ながら大して美味しくありません。
惣菜や加工品では肉のほうが安くて美味しい商品が製造しやすく、実際に惣菜売場でもコンビニでも畜肉製品のほうが圧倒的に多く売られています。
そもそも魚に比べて肉料理は手間がかからず調理時間の短いレシピが豊富です。タイパやコスパを重視すれば、水産物より畜肉に消費がシフトするのは当たり前です。機能性を重視する傾向も強まっています。
健康維持機能、ダイエット効果、また最近はルッキズムを背景とした筋肉肥大効果などを謳う食品が人気のようで、象徴的な食品が「サラダチキン」です。
多くはタイなどから輸入した鶏肉を使っており、コンビニの店頭には様々なアイテムが並んでいます。どれも安くて食べるのに簡便で、低脂肪でタンパク質豊富な機能性をパッケージでアピールしています。

