「6年前の判断」を誤りと認めない県の顔をJRが立てた
今回の自然環境保全協定書で準備工事を認めたことで、「静岡悪者論」は払拭されるのだろうか?
JR東海は昨年8月、準備工事を認めてもらうための要望書を静岡県に提出している。
要望書の中には、準備工事はヤード用地の拡張にとどめ、「(準備工事には)坑口整備や濁水処理等設備の設置などの本体工事(トンネル工事)については含まない」と約6年前に静岡県が下した行政判断を尊重する断り書きを入れた。
実際には、坑口整備(樹木伐採や斜面補強)、濁水処理等の設置などを行ってもトンネル掘削ができるわけではない。だから、金子社長は当時トンネル本体工事以外の準備工事を要請したのだ。
JR東海は、いまだに静岡県が坑口整備、濁水処理等の設置などをトンネル本体工事の一部とみなしていることを事前に事務方から説明を受けたのだろう。だからJR東海は準備工事を認めてもらうためにご丁寧にも断り書きを入れたに違いない。
つまり、静岡県は「坑口整備や濁水処理などの準備工事はトンネル本体工事の一部である」とした6年前の行政判断が正しかったことにしたいのであり、事業者のJR東海も静岡県の指導に従ったことになる。
しかし、もし、そうであるならば、それこそ6年前に静岡県は、今回同様に坑口整備、濁水処理等の設置などを除いた準備工事にするよう、川勝、金子のトップ会談前にJR東海を指導すれば、当時のような大騒ぎにはならなかったはずである。
いまとなっては、すべてが遠い昔のことに思えるが、過去の事実をちゃんと踏まえて説明していかなければ、多くの人が抱いてしまった「静岡悪者論」を消し去ることはできない。
県は「静岡悪者論」を払拭するよう行動で示せ
ことしに入ってから立て続けに、静岡工区着工に向けて驚くべき進展を見せている。
ヒ素など自然由来の重金属を含む要対策土の処理について、JR東海は2月4日の県専門部会でオンサイト処理(磁力選別による浄化処理)することを明らかにして、これまでの方針を180度変える方針を示した。これで川勝知事時代の懸案だった問題がすんなりと解決した(静岡リニアの「最後の障壁」をついに突破し「26年内着工」が内定…JR東海が放った1.2兆円の”ウルトラC”)。
なぜ、2027年開業が遅れてしまったのか?
JR東海の計画がずさんで見通しが甘かったことにも原因はあるが、反リニアに徹しているように見えた静岡県の対応に問題があったことも確かである。
「静岡悪者論」の払拭のためにも、静岡県は年内早期の静岡工区着工に踏み切らなければ、「リニア」は遠い未来の夢になってしまうかもしれない。


