「メールの即レス」は必要ない

さらなるポイントは、例外を意識的に作ることです。たとえば、「メールは1時間以内に返信すべき」と言う人は、少し立ち止まって考えてみてください。「大事な作業中なら、2時間後でもいい」「集中タイム中は通知をオフにしていい」といった“例外ルール”を作るだけで、仕事の効率は格段に上がります。

例外を許すことは、怠けではありません。それは、自分の生産性と集中力を守るための戦略です。時間管理の本質は、すべてをこなすことではなく、本当に重要なことを選ぶことだからです。「すべき思考」は、誠実な人ほど強くなります。そして誠実な人ほど、「自分が守らなければ」と無意識に時間を犠牲にしてしまいます。

けれども、効率の良い働き方とは、「正しさをゆるめる力」を持つことです。「今日中に完璧に仕上げるべき」ではなく、「今日はここまでできれば十分」と区切ること。「すぐ返信すべき」ではなく、「今は集中したいから後で返信しよう」と決めること。そして何より、「納期が厳しいなら相談してもいい」「人を増やせば間に合うなら、それを提案していい」と思えること。

子どもにコンビニ弁当を与えた妻に「え!」

時間の主導権を取り戻すのは、「すべき」を少しゆるめる勇気です。正しさをゆるめた先に、初めて本当の意味での「時間の自由」が生まれるのです。

完璧主義は、自分ではなかなか気づけないものです。自分では自分に課す基準のことを「やって当然」「できて当たり前」「普通はすべき」と思っているからです。ある男性は、専業主婦の非常にまめな母親に育てられ、いつも彩り豊かでおいしいお弁当を作ってもらっていました。その男性が父親になったときに、我が子にもお弁当を作ろうとしたとき、どうしても自分の母親が作ってくれていたお弁当が基準になっていました。

「お弁当と言ったら当然卵焼きが入っていて、緑や赤の色とりどりの野菜、手作りのメインディッシュが入っている」――そんなイメージが頭から離れないのです。妻は仕事が忙しく、我が子のお弁当をコンビニで購入してきました。それを見たときに思わず「え!」と否定するような声を上げてしまったのです。

妻はその声を敏感に感じとり、空気は冷たく凍りつきました。妻は「そんなにコンビニ弁当を持たせることを不憫に思うのなら、あなたが用意すればいいじゃない!」と叫びました。男性の無意識の完璧主義が露呈した瞬間でした。

キッチンで妻に指摘をする夫
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