雑談は決して“雑”なおしゃべりではない

とにかく雑談は決して「雑な」会話ではない。英語の話ついでに是非とも知っておいていただきたい表現として、“keep the ball rolling”というものがある。これは、「場をしらけさせない」「物事を順調に進める」という意味だ。

とにかくアメリカのビジネスマンがよく話すのが、多くの日本人はビジネストークにおいて、前振りなくいきなり商売の話をするということ。それに対して相手はどう思うか。「コイツはカネの話しかできない、教養のない人間だ」となってしまう。

契約の話をするビジネスマン
写真=iStock.com/rparobe
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となると、アメリカ人のビジネスパーソンは当然、カウンターパートである日本人をバカにする、低く見る。これではビジネスは、うまくいくはずがない。

無論、日本人同士の質疑、会話でも同様だ。日本の豊かな文化のひとつである落語のマクラ、あるいはバラエティ番組での前説まえせつ。あれらがなぜあるのか。それは、ひとえに本編をより楽しんでもらうためだ。

まして、相手に質問を投げかける立場に立った際は、ただ単に会話をするとき以上に、より相手に寄り添うよう意識する必要がある。

そのためには、本編、本題の前にその前振りを仕込むことだ。

ちょっとした雑談=“small talk”の有無だけで、相手から多くの答えを引き出すことができる。それがそれほど難しいことでないのは、説明してきた通りだ。

もちろん自身も相手もリラックスするというのも、雑談の大事な役割である。だが同時に、“keep the ball rolling”を念頭に置き、くだけた雰囲気をつくりつつ、自分が本題である質疑の主導権を握るための、とても大切なウォーミングアップだと認識すべきだ。

そうすれば、質問への答えもより充実した内容、より自分にとって望ましい“成果”になること、間違いない。

CONCLUSION
“keep the ball rolling ”を
常に意識しておく!

日本人が苦手なちょっとしたゲーム

前項で触れた「アイスブレイク」。

こちらは言葉としては日本社会にだいぶ定着しつつある反面、にもかかわらず日本人がかなり苦手にしている、あるいは大きく勘違いしている大事な会話の要素のひとつではないだろうか。

もちろん語源は英語だが、正しくは“break the ice”または“ice-breaking”となる。つまり、アイスブレイク自体は和製英語だ。

氷を壊す、すなわち、凍りついたような堅苦しい雰囲気をほぐす、あるいは会話、質疑の口火を切るという意味である。そうした行為、つまり前項でいうところの雑談や、ちょっとしたゲームや遊びを“icebreaker”という。

そもそも、新聞記者やニュースキャスターといったプロも含めて、日本人は相手に何かを聞く際のマナーを勘違いしているとしか思えない。

というのも、まさにアイスのごとくカチコチ、ただでさえ温まりきっていない場の雰囲気を、さらに凍らせるような硬いことしかしゃべらない人があまりにも多いのだ。

おそらく、目上の人には敬語を話し、敬意をもって接するという日本の教育や、社会習慣も、その一因となっているのだろう。