「急に雨になるんでしょうか」をこの言い方に

「今日も曇ってますねぇ」
「そうですね」
「降りそうで降りませんが、急に雨になるんでしょうか?」
「まぁ、梅雨ですから……」
「ところで、例の合弁の案件ですが、どうなりましたでしょうか?」

これでは、ただの時間つぶしにすぎないし、読んでみてわかるように本題への入りとしては「下手くそ」としか言いようがない。

英語では「雑談」という言葉はなく、“small talk”や“chat”がそれに該当する。

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だが、その意味合いは単なる“小話”ではない。自分がどういうレベルの人間なのかをそれとなく伝える“問わず語りの自己紹介”、あるいは本題に対する相手の心理的なハードル、ガードを下げるための“前振り”、はたまた、緊張感を解きほぐすための“アイスブレイク”として使われるのだ。

3分、5分という短い雑談時間で打ち解けられれば、その分、時間の余裕があるので、相手に聞きにくいことにも斬り込みやすくなる。

先ほどの雑談の例に戻れば、日本人はあまりにも天気の話をすることが多い。そうした傾向自体を批判する向きもあるが、天気は共通の話題になるのは間違いないうえ、そもそも多くの日本人が好きなテーマなのだから、そうした話をすること自体は決して悪いわけではないだろう。

問題は、話す内容があまりにも“とりとめがない”ことなのだ。

たとえば、「急に雨になるんでしょうか」部分を「キツネの嫁入り、なんてことになるんでしょうか」と言い換えてみたらどうか。

「キツネの嫁入り」とは、晴れている最中にザッと降る、いわゆる「天気雨」のことだ。諸説あるが、不思議な現象のためキツネの仕業と考えられたことが語源だとされる。

変化球を投げると一気に話が弾み出す

こうしたところから入ると、日本語表現の多様さから日本語論、日本人と天気のかかわり深さから日本人論、さらには、いわゆる「ゲリラ豪雨」が多発していることなどから気候変動、環境保護問題など、「急に雨が降り始める」より一気に会話が弾み、話題が広がる可能性が高まるのだ。

あるいは「降りそうで降らない」を英語で言い表すと、“It's trying to rain.”となる。trying toとあるが、「~しようと一生懸命やっている」わけではない。まだ、できない状態を指して、そういうのだ。

「キツネの嫁入り」も、英語では“sun shower”と日本語とかなり違う表現となる。英語圏の人や、外資系企業に勤務しているビジネスパーソンなどに対しては、“It's trying to rain.” “Oh! It's sun shower.“といったような感じで、英語の話題を織り交ぜるというのもひとつの手だろう。

こうした“変化球”を投げると、相手も「この人と話すと何か得するかもしれない」「面白い話ができそうだ」といった感じでガードを下げたり、積極的にネタを提供してくれたりするようになる。