昨今のトランプ関税は取るに足らないこと
詳細は本誌に譲るが、たとえば昨今のトランプ関税は、彼の目からすると「ピーナッツ“peanuts”」、すなわち「取るに足らないこと」だという。
アメリカ国内でのインフレを増進させる可能性はあるが、閉鎖的なアメリカ経済のなかで貿易が占める割合は、それほど大きいとは言えないため、影響もどれほど深刻になるかはわからないからだ。
それよりもむしろ、トランプ政権が科学研究の予算をバッサリ削っていることのほうが、長期的に見てアメリカの大問題になると分析した。
実際、たとえば2025年のノーベル賞では、物理学賞、生理学・医学賞、化学賞で計6人、経済学賞で2人と合計8人の受賞者がアメリカ人、もしくはアメリカの研究機関を拠点とする研究者である。だが、こうした状況も、このままでは長くは続かないと言うのだ。
現在、アメリカから研究者が次々と国外流出している。日本の大学ですら受け入れを表明しているくらいだ。ところがトランプは、そんなことまったく意に介していない。それこそがアメリカの将来にとって命取りになるという。
そのほかにも2000年以降、アメリカ経済は大企業による寡占化が進み、それまでは自由度が高かった競争が失われてしまった結果、ヨーロッパやアジアにも国際競争力で劣るようになったこと。
あるいは、日本がAIの世界的競争に取り残されてしまうのは、とても危険なこと。そのためには優れた大学を増やすべきことなど、さまざまなトピックについて雄弁に語ってくれた。
心理的ガードを下げる効果
トータルのインタビュー時間は1時間ほど。しかし、それを翻訳したら2万字にも達した。2万字といえば普通の本の1/4ほどのボリュームに価する。誌面の関係上、それを泣く泣く6000字まで削らざるを得なかったのが、返す返すも残念だった。
やや長くなってしまったが、ここにある話だけでも十分楽しめると思うのでどうか許していただきたい。
ともあれ、気鋭の若き経済学者が、日本経済に対する彼独特の処方箋など、これまでメディアに出たことがない視点を提示してくれた要因の一端は、家族の話という軽めのアイスブレイクからスタートし、心理的ガードが下がったことにあるのは間違いない。
こんな簡単なオープニングトークでも、「ボールを転がし続けること」は断然しやすくなる。
つまり、雑談への意識、そしてアイスブレイクという名の簡単な“種まき”があるだけで、会議や面談、そして大事な商談の場でも、確実に相手、あるいはライバルの上を行くアドバンテージを得ることができるのである。
日本人が苦手なことにこそ、
他を制するチャンスがある!


