優しい手つきで茶碗を手に持った

釋永さんは外国人のカップルをギャラリーに入れたあとも、「すぐに飽きて帰るだろう」と思っていた。

しかし、それは大間違いだった。ふたりは一つひとつの作品をじっくりと見ながら、ギャラリーを一回り、二回りしていた。よく見ていたのは、茶碗と花入れだった。

三回り目に「手にとって見てもいいか」と聞かれたので、釋永さんは「どうぞ、さわってご覧ください」と応じた。茶道具を中心にした個展だったので、茶碗が多かった。釋永さんは、陶器をさわって肌触りを確かめることはとても大事なことだと思っていたので、ジョブズの手つきや表情を見て特別なものを感じた。