ブドウ糖が枯渇すると、ケトン体を使えるように

ケトン体は、英語で「Ketone bodies」と書きます。簡単に言うと、脂肪が分解されるときに肝臓で生成される物質です。肝臓から全身に運ばれ、脳も含め、あらゆる臓器でエネルギー源となることができます。

エネルギーとしてすぐに使えるブドウ糖が私たちの体内からなくなると、まずは、肝臓や筋肉などに貯蔵されていたグリコーゲンが分解され、ブドウ糖エネルギーとなります。

それも枯渇すると、脂肪細胞に溜め込まれた中性脂肪が脂肪酸に分解され、ケトン体エネルギーを使えるようになるのです。

私たちが活動するためのエネルギーは、最終的にはATP(アデノシン三リン酸)という分子として利用されます。

ブドウ糖は、酸素と反応することでATPに変換されます。一方で、ケトン体はミトコンドリアによってATPに変換されます。

そのため、ミトコンドリアのない赤血球では、ケトン体はエネルギー源とはなり得ません。しかし、脳はもちろん、ほとんどの臓器でエネルギーとしてしっかりと働くことができます。

継続的で安定した状態でエネルギーを供給

このとき、糖質由来のブドウ糖よりも、脂質由来のケトン体のほうがエネルギー効率が高くなります。

同じ1グラムの場合、糖質は約4キロカロリーなのに対し、脂質は約9キロカロリーあるからです。

肥満体の人でなくとも、体にはかなりの脂肪を貯蔵しています。一般的に健康とされる脂肪率は、男性で10~19パーセント、女性で20~29パーセントくらいです。体重50キログラム、脂肪率25パーセントの女性なら、12.5キログラムの脂肪を溜め込んでいることになります。

お腹をつまむ女性
写真=iStock.com/RyanKing999
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こうした脂肪由来のケトン体を使えれば、効率がいいだけでなく、安定的にエネルギーが供給されます。

もともとブドウ糖は、激しい運動を行うときなどに適したエネルギー源で、マラソン選手が試合の前に炭水化物をたくさん摂るのは理にかなっています。ただし、筋肉や肝臓にグリコーゲンとして貯蔵できる分量は限られており、枯渇しやすい一面もあります。

一方で、ケトン体はたくさん溜め込まれている脂肪を使うので、継続的で安定した状態でエネルギーを供給できます。すなわち、おだやかなエネルギー源となり、脳の神経細胞やシナプスの働きをしっかりとサポートしてくれます。