うまくいく人は「楽しむこと」を大切にする
イノベーション部門賞は『1つの習慣』でした。
著者の横山直宏さんは、国内外で8社を経営する起業家です。しかし、そのキャリアは決して順風満帆なものではありませんでした。
大きな転機となったのは、26歳で創業した会社が経営危機に陥ったこと。「いったい何のために働いているのか」と自問自答する中で、横山さんはある行動指針を定めます。その結果、会社はV字回復を遂げ、13年間で累計100億円の売上を達成したといいます。
その行動指針こそが「楽しむこと」。これが本書で語られる、うまくいく人が大切にしている「たった1つの習慣」です。
なぜ、楽しむ人はうまくいくのか。横山さんはその理由を、物事に自発的に取り組めるようになり、良い成果を継続的に積み重ねられるからだと説明します。さらに、楽しそうに取り組む姿勢は周囲にも伝播し、「応援したい」「協力したい」と思われやすくなって、成功に近づいていくのです。
とはいえ、つらい状況をそのまま楽しむのは簡単ではありません。本書ではその点も踏まえ、「楽しむ」を実践するための具体的な方法が丁寧に紹介されています。例えば、「やりたくないことリスト」の作り方や、つらい出来事の意味づけを変える思考法など、今日から試せるノウハウが詰まっています。
「楽しみながら成果を出したい」と思わない人はいないはず。仕事だけでなく、生き方そのものを見直したい人におすすめの一冊です。
「軍事的な世界観」から「冒険的な世界観」へ
マネジメント部門賞には『冒険する組織のつくりかた――「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法』が輝きました。
著者の安斎勇樹さんは、組織づくりを専門とする経営コンサルティングファームMIMIGURIの創業者。大企業からベンチャー企業まで、累計350社以上の組織づくりを支援してきた実績を持ちます。昨年の「読者が選ぶビジネス書グランプリ」でグロービス経営大学院賞を受賞した『チームレジリエンス』の共著者でもあります。
本書で安斎さんが提示するのは、「これまでのビジネス・会社経営は、あまりにも『軍事的なものの見方』に傾倒しすぎていたのではないか?」という問いです。そのうえで、「軍事的な世界観」から「冒険的な世界観」へと、組織の前提そのものをアップデートする必要性を説いています。
ここでいう「軍事的な世界観」とは、「兵力を率いて、敵国にいかに勝利するか」を重視する発想。一方「冒険的な世界観」とは、「不確実な世界で、新しい価値を探究する」ことを重視する考え方です。この対比を読むだけでも、「軍事的世界観=古い」「冒険的世界観=今の時代に合っている」と感じる読者は多いでしょう。
まずは本書で提示される、組織の見え方を変える「5つの冒険的レンズ」――目標のレンズ、チームのレンズ、会議のレンズ、成長のレンズ、組織のレンズ――に目を通してみることをおすすめします。組織の課題を「人」ではなく「世界観」から捉え直すことで、これまでとはまったく違う打ち手が見えてくるはずです。


