子どもの学力を高めるにはどうしたら良いのか。教育心理学・認知科学者の猪原敬介さんは「最近10年で子どもの勉強時間は減っているのに、親の『大学には行ってほしい』という期待はむしろ高まっている。こうした身勝手な願いを両立させる活動がある」という――。(第1回)

※本稿は、猪原敬介『科学的根拠(エビデンス)が教える 子どもの「すごい読書」』(日経BP)の一部を再編集したものです。

家で勉強をする子ども
写真=iStock.com/kohei_hara
※写真はイメージです

子どもに学歴も遊びも求める親のジレンマ

子どもが勉強ができると、保護者はちょっとだけ、心配の種を減らすことができます。私は別に「わが子はぜったい東大!」などと思っているわけではありません。でも、なんだかんだいって、もっとも「つぶしがきく」経歴が学歴ですし、「勉強が得意」であることは将来どんな道を歩んだとしても有効なスキルであり続けるでしょう。

個人的には「どんどん高いレベルのことを学ぶのは、とても楽しい!」とも感じていますので、学校でその基礎をしっかり身につけてほしいなとも思います。だからやっぱり、「ある程度は勉強ができてほしい……」と願ってしまいます。

でも一方で「勉強ばかりしてほしい」とも思っていないのです。むしろ、友達とよく遊び、勉強以外の知識にも幅広く関心を持ち、いろいろな体験をしてもらって、大人になってからも長く楽しむ・頑張ることのできる「何か」を子ども時代に見つけてほしい……そう願っています。

……いいことを言っている風ですが、見方を変えれば「勉強は効率的にこなしつつ、遊びにもそれ以外にも全力で取り組んでもらって、最終的に大学だけはよいところへ行け」という無茶な要求を子どもにしてしまっているような気もします。自戒を込めつつも、こうした考えは今の保護者の方にも共有されるのではないかなと思っています。

親の「勉強に対する意識」の意外な変化

例えば、次のようなデータがあります。

東大・ベネッセが毎年行っている「子どもの生活と学びに関する親子調査」では、2015〜2024年にかけての10年間で、子どもの1日あたりの勉強時間が徐々に減ってきていることが明らかになっています。

最近10年間での子どもの変化を知る上で大変貴重な調査で、私もこの調査のプロジェクトメンバーとなっています。

図1にもあるように、学校がある日の1日あたりの勉強時間が、

・小4〜6:82.9分→70.3分(15.2%の減少)
・中学生:106.9分→92.9分(13.1%の減少)
・高校生:119.4分→102.8分(13.9%の減少)

となっています。

なお、ここでの「勉強時間」とは、学校での勉強を除く1日あたりの平均的勉強時間のことで、「宿題」や「塾」も含めたものになります。

一方で、保護者の方に「子どもについての悩みや気がかり」として「家庭学習の習慣」があてはまるかどうかを尋ねた質問では、「あてはまる」の割合が、

・小4〜6:41.5%→33.5%(8.0ポイントの減少)
・中学生:42.7%→41.3%(1.4ポイントの減少)
・高校生:32.9%→27.0%(5.9ポイントの減少)

と、この10年で減少しています。