高市早苗首相が決めた衆院選は吉とでるか凶とでるか。ジャーナリストの池田和加さんは「選挙の行方を決めるポイントのひとつは、高市首相を支持する人が多い若い世代。初の女性宰相を支持する理由を分析すると、若者の思考に大きな影響力を発揮している、意外な存在がいることがわかった。今回の選挙結果も、その人物がカギを握っている」という――。
高市早苗首相
高市早苗首相(写真=外務省/駐日南アフリカ大使館/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

若者の投票が鍵握る衆院選…高市人気の4つの理由

高市早苗首相は衆議院選挙に打って出ることを決意した。多くの選挙予測によると、自民勝利が濃厚との報道が多いが、2月上旬予定の投開票で国民はどんな審判をくだすのか。

そもそも2025年10月、日本初の女性総理となった高市早苗氏への評価は当初、二極化していた。一部メディアや識者は「反女性」「ジェンダー平等の後退」「軍国主義者」と批判した。その一方で、各種世論調査の結果を見ると若者からの人気が際立っている。なぜ若い世代は高市首相を支持するのか。筆者が考える理由は4つある。

理由①:「頑張れば報われる」ロールモデルへの渇望

批評家・三宅香帆氏は著書『考察する若者たち』(PHP新書)で、現代の若者が「報われたい」と強く願望していると指摘している。「親ガチャ」という言葉が常用化するほど格差が大きくなった日本で、ラノベやアニメで“転生もの”が人気の理由を、三宅氏は「それは反転して、報われる努力をできる場所に社会がなっていない、ということの証である」と分析する。

経済的・文化的資本をもった親をもつか、生まれ持ったスペックが高くない限り、人生で成功するのは無理ゲーという意識が若者に浸透している。

世襲議員が多い中、母親が警察官で父親がサラリーマンという一般家庭出身の高市首相は、「頑張れば報われる」を体現している。父親に4大進学を反対され、バイトで学費を稼ぎながら地元・関西の神戸大学(経営学部)を卒業した努力家だ。世襲議員を含む男性優位の政界で、30年以上かけて総理の座を掴んだ。

読売新聞が行った緊急世論調査(2025年10月実施)では、18〜39歳の若年層における支持率が80%で、前任の石破内閣時の15%から実に65ポイントも急上昇した。また、産経・FNN調査(2025年12月実施)では18~29歳の支持率が92.4%に達した。これらは政権交代によって若者の支持構造が劇的に変化したことを示している。

前出・読売の調査で、支持理由として最も多かったのは「政策に期待できる」(41%)であり、「年収の壁」の見直しや給付付き税額控除の導入、成長分野への国家投資が評価されている。出自による格差が固定化されつつある現代において、再分配と成長の両立を掲げる政策は、若者にとっての「切実な希望」として映っているようだ。

筆者が10代後半から30代後半の日本人男女に取材すると、やはり高市首相を支持している人が多く、このように語っていた。

「これまでのおじいさん議員のように、銀座の高級クラブで飲食などせず、家で翌日の仕事の準備している姿に好感がもてる」(26歳男性 都内美容師)

「説明がわかりやすい」(19歳女性 横須賀 ネイリスト)

「話すときに笑顔で明るく、礼儀正しい」(20歳女性 都内大学生)

「G7でスマホをいじっていた前首相とは違う」(20歳女性 高知 公務員)

「日本が変われるということを世界に証明するために、男性として女性総理を応援したい」(38歳 徳島 教員)

「新しいことをしてくれそう」(18歳男性 北海道 高校生)

インフレ傾向はとまらず物価高対策は十分と言えない中で国民の生活は苦しいまま。また、いわゆる「台湾有事」を巡る国会での発言などもあり、日中関係はギスギスしている。高市首相が就任後に「いい仕事」をしたとはいえないだろう。

それでも、おじいさんが支配するというこれまでの自民党のイメージを覆し、日々の生活で「報われる」仕組みを作ってくれる兆しを若者は感じ取っているのだ。