50代、60代が幸せな人生を生きるには何をするべきか。精神科医の和田秀樹さんは「『もう残りの人生ぐらい、安楽に生きてもいいんじゃないか』と考えるか、逆に『残り少ない人生で何ができるか』と考えるかで、生き方はずいぶん違ってくる」という――。
※本稿は、和田秀樹『死ぬのも楽しみ』(廣済堂出版)の一部を再編集したものです。
死に対する恐怖感の根底にあるもの
私は精神科医ですから、死を美化することはできないし、そのつもりもありません。
とくに、自殺防止は精神科医に課せられた大事な任務になります。そうでなくても、うつ病の患者さんのように「死にたい」と訴える人がいますし、高齢者でも「そろそろお迎えが来てくれないかな」とつぶやく人もいます。
そういう人たちに対しても、なんとか生かしてあげようとするのが日本の医者です。
望まなくても人間はいつか死にますが、急ぐ必要はないし、自分から死を早める必要もないからです。
死を美化するつもりはないというのは、私自身の死生観がそうだからです。
死に関して私は唯物論の立場です。信仰している宗教もありません。
死ねばまず意識がなくなり、その後、肉体も腐ってしまいます(実際には火葬ですから骨だけが残ります)。
意識が消え、肉体も消え、この世に自分という存在がなくなるというのはイメージとしては怖いです。
というよりイメージすら浮かんでこないでしょう。自分という存在の何もかもが消えてしまうという根源的な恐怖感が日本人にはあります。

