小宮一慶が出題、あなたは何問答えられるか──数字に対するセンスを磨くことはいまやサラリーマンにとって必須の条件だ。それは、経済成長が頭打ちとなったこととも無縁ではない。お金や予算の伸びが限られているなか、買うべきか、買わざるべきか。投資すべきか、やめるべきか。そして日本経済はどこへ向かうのか。7つの問題を考えることによりあなたの数字センスをアップさせよう。

粉飾決算を見抜くことはできるか

ロイター/AFLO=写真

数字に騙される典型的なケースに、粉飾決算がある。粉飾決算をやっている企業は、有価証券報告書に虚偽の記載をするわけで、その虚偽の報告書を読んだ側は表向き整合性の取れた数字の羅列に騙されてしまうわけだが、実は、企業会計の知識、というよりは「常識」を身につけていると、整合性のある数字に隠れている嘘を察知できる場合がある。

たとえば、オリンパスの粉飾決算の場合である。私はオリンパスとは何の関わりもないし、オリンパスの有価証券報告書を見たのは事件が明るみになった後のことなのだが、オリンパスの有価証券報告書には、明らかに不自然な点があった。オリンパスは現預金を非常識なくらい多く持っていたのである。別な言い方をすれば、手元流動性を異様に多く持っていたのだ。

ご承知のように、企業は資産をさまざまな形で所有している。土地として持っている場合もあるし、有価証券として持っている場合もある。そして資産は、その形態によって換金性に大きな差がある。土地などは現預金に比べて流動性が低い。つまり、イザというとき、すぐに金に換えることが難しいのだ。

では、最も流動性の高い資産は何かといえば、それは言うまでもなく現預金である。企業は一般的にどの程度の現預金を持っているべきかというと、大企業なら月商の1カ月分程度、中小企業でも2カ月分くらいが常識的なラインと考えられている。オリンパスクラスなら月商の1カ月分を現預金で所有していれば、火急の入り用にもなんとか手当てがつくというわけだ。