小宮一慶が出題、あなたは何問答えられるか──数字に対するセンスを磨くことはいまやサラリーマンにとって必須の条件だ。それは、経済成長が頭打ちとなったこととも無縁ではない。お金や予算の伸びが限られているなか、買うべきか、買わざるべきか。投資すべきか、やめるべきか。そして日本経済はどこへ向かうのか。7つの問題を考えることによりあなたの数字センスをアップさせよう。
日本は毎年50兆円の税収不足
数字の規模感という意味で、いまもっとも旬な話題といえば、EUの信用不安だろう。ご存じのように、イタリアの財政赤字は対名目GDP比で120%、そしてギリシャは170%であり、ギリシャは事実上の破綻国家であると言われている。
では、EUの問題はさておき、日本の財政赤字の規模をご存じだろうか。なんと、対名目GDP比で200%である。わが国は、対名目GDP比ではイタリアやギリシャよりもはるかに大きな、世界に類を見ない財政赤字を抱えているのである。
日本のGDPはこのところ約470兆円である。日本の国家予算は約90兆円。税収は約40兆円だから、毎年、約50兆円分の税収が不足しているということだ。政府はこの不足を埋めるため、ここ数年来、赤字国債を発行すると同時に、「埋蔵金」を国家予算に充当してきたと主張している。
では、この埋蔵金とはいったい何なのか。そして、実際に埋蔵金は存在するのだろうか。
先回りして答えを言ってしまえば、私は埋蔵金など存在しないと考えている。少々説明が難しくなるが、なぜ私がそう考えるのか、その理由を説明してみることにしよう。
埋蔵金の正体は「金利差」
まず、政府はここ数年、外国為替資金特別会計から合計で20兆円程度の埋蔵金を掘り起こしてきたと説明しているのをご存じだろうか。外国為替資金特別会計、略して外為特会(がいためとっかい)とは、その名の通り国が所有している外貨の勘定である。政府や日銀が所有する外貨を外貨準備と呼ぶが、その外貨準備を管理しているお財布が外為特会だと考えればいいだろう。
外為特会は、企業のバランスシートと同様に「資産」と「負債」、「純資産」から成り立っている。この場合の資産とは日本国政府が所有している外貨であり、負債はその外貨を買うために発行した国債である。そして、後で説明するように、外貨資産と日本国債の金利差が生み出した利益が純資産だが、政府はこの純資産を埋蔵金として掘り起こした。つまり埋蔵金の有無は、この純資産が実在するか実在しないかにかかっているわけだ。