小宮一慶が出題、あなたは何問答えられるか──数字に対するセンスを磨くことはいまやサラリーマンにとって必須の条件だ。それは、経済成長が頭打ちとなったこととも無縁ではない。お金や予算の伸びが限られているなか、買うべきか、買わざるべきか。投資すべきか、やめるべきか。そして日本経済はどこへ向かうのか。7つの問題を考えることによりあなたの数字センスをアップさせよう。

1人当たりGDPは日米ほぼ同じ

ロイター/AFLO=写真

主要な数字をざっくりとでも把握していると、飛び込んでくるニュースに疑問を感じるようになる。そして、その疑問を梃子にして、さまざまなことを推理する習慣が身につくようになる。

たとえば、日本の名目GDPは約6兆ドルで、人口は約1億2800万人。アメリカの名目GDPは約15兆ドルで、人口は約3億1000万人である。このざっくりとした数字を基に、1人当たりGDPを計算してみると、日米ともに5万ドル弱となりほとんど差がないことがわかるのである。

報道されたように、ダルビッシュ有投手はテキサス・レンジャーズと6年間の年俸総額約6000万ドル(46億円)で契約を結んだ。ではなぜ、大リーグの球団はこれほど高額の契約金を支払うことが可能なのだろうか。単に大リーグの球団が金持ちだからだろうか。

ご承知のようにGDPとは、1年間に企業が生み出した付加価値の国内での総額のことである。そして、どの企業も生み出した付加価値のかなりの部分を、従業員に対して給与として支払っている。つまり、日米の1人当たりGDPがほぼイコールであるということは、日米の平均賃金もほぼイコールであると考えていいのである。

しかし、ダルビッシュのみならず、アメリカで活躍する有名人や企業経営者たちは日本人から見れば信じられないほど高額の年俸を得ている。たとえば、アメリカで最も高額の年俸を獲得していた企業経営者の1人であるディズニーの前会長・マイケル・アイズナーの年俸は約5億ドルだったはずだ。当時の為替レートは約120円だったから、年俸約600億円ということになる。

あるいは10年ほど前、ニューヨーク証券取引所のリチャード・グラッソ会長の永年勤続に対する一時金が約1億4000万ドルであったことが大きな批判を生んだこともあった。東京証券取引所なら考えられない数字だ。