「こんな政治はまっぴらごめんだ」

センターピンをいとも簡単に動かすのか。高市早苗政権の「至上命題」だった衆院議員定数削減問題は、実現の見込みがないまま越年する。

だが、閣外協力している日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)は12月20日、衆院定数削減法案の臨時国会成立を強く迫ったにもかかわらず、来年の通常国会で法案の成立を目指すが、成立しなくても、政権から離脱することはない、との考えを大阪市内で記者団に明らかにしたのである。

自民党が高市総裁のリーダーシップで法案をまとめ、共同提出したこと自体を評価したのだという。拍子抜けと言っていい。

握手する高市早苗首相と日本維新の会の吉村洋文代表
写真=時事通信フォト
与党党首会談後に共同記者会見し、握手する高市早苗首相(左、自民党総裁)と日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)=16日、国会内

吉村氏は衆院定数削減を「改革のセンターピン」と位置付け、藤田文武共同代表が比例選だけで50議席減が「スピーディーで、シンプルだ」と豪語したこともあった。

自民党との事前調整によって、12月5日に臨時国会に共同提出された法案は、現行の小選挙区比例代表並立制の下で、小選挙区(定数289)で25議席、比例選(定数176)で20議席を削減するという内容になったが、吉村氏は、1年以内に結論を出せなかった場合、自動的に議員定数を削減するという条項を捻じ込み、野党や自民党の一部から「乱暴だ」との声が上がっていた。

吉村氏は12月12日、記者団に対し、議員定数削減法案の行方について「結論が出るまで会期を延長するべきだ。結論を出さずに終わる、こんな政治はまっぴらごめんだ」と語気を強めていた。15日の参院予算委員会では、片山大介氏が「この法案は連立政権の発足の要件だけでなく、存続の要件でもある」と、高市首相に迫っていたのである。

政府・与党内調整や与野党間の合意形成の仕組みや段取りに通じていない、ただのお騒がせ男の独り相撲なのか。それとも、何かと連立離脱カードを切る、という猿芝居を見せつけられていたのだろうか。