参院選前に母親からかかってきた衝撃の電話
「ついにうちの実家にも『波』が来てしまいました。最近どうも、親が変な動画ばっかり見ているようなんです……」
この一年、行く先々でこうした告白を耳にしてきた。しかも、「あまり他には言えないんですが、実はうちもついに……」と伏し目がちに打ち明ける人が少なくない。主に30代半ばから50代前半の人たちで、その親となれば60代から70代後半くらいだろう。
30代の男性は、2025年夏の参院選の前に母親からこんな電話がかかってきたという。
「あんた、次の選挙は参政党に入れてよ!」
これまでは支持政党を明らかにしたこともなかったのに、急に熱心な支持者になっていたのである。
「なんでまた参政党なの」と驚いた男性が聞くと、「いままでの古い党はダメダメ、ちゃんと日本のことを考えているのは参政党だけ。お母さんも最近は結構ちゃんと観てるのよ」。
「何を」「ほら、動画とか」
男性は悲しげに語る。
「アチャーッ、と思いました。ついに我が家にも来てしまったかと。どんな動画を見ているのかと問いただしても要領を得ません。『変な動画ばっかり見ないでよ』と言ったら、『あんたはわかってない!』と電話を切られました」
「先生はすごい人なのよ!」
50代男性の例も興味深い。
「両親とも自民党嫌いで長年、ある『万年野党』の支持者だったのに、ここにきて急にれいわに鞍替えしたと宣言されました。以前から選挙の際には『共産党にお願いね』と言われてはきましたが、れいわ支持になってからはより強めの投票要請になっています。『れいわが勝てなければ日本はおしまいだ』と極端な物言いも増える一方。
一体どうしたのかと思ったら、やはり動画でした。繰り返し、山本太郎の『神演説動画』を見ているようです」
政策パンフレットを読んで、あるいは政策を深く理解して支持するようになったのではなく、「動画」がカギになっているのだ。
別の50代の男性はうなだれてこう話す。
「うちの母親が観ろと勧めてくるのが、保守派インフルエンサーの動画です。彼は『数カ国語を瞬時に話せるようになった』『毎日1時間しか寝ない』などというよくわからない自己礼賛エピソードや、事実関係が曖昧な国内外の情勢をそれらしく語っています。
実際、親が観ているYouTubeを開いたらそのインフルエンサーの動画の視聴履歴が並んでいました。『そんなの観ないでよ、あんなのインチキだよ』と言ったら、『先生はすごい人なのよ!』『あんたも勉強した方がいい』などと、とりつく島もありませんでした」

