財務省案を「しょぼい」と差し戻し

高市政権の政策の隙をついて、金融市場ではわが国の株売り・円売り・債券売りの懸念が高まっている。11月21日に政府が発表した経済対策に対して、高市首相は財務省の渋い当初案を「しょぼいどころではない。やり直し」と差し戻したようだ。高市氏としては、大規模な補正予算が必要との認識なのだろう。

大規模な経済対策による財政悪化懸念もあり、外国為替市場では円安が進行した。11月20日、1ユーロ=182円台の過去最安値を更新した。ドル/円は157円80銭台までドル高・円安は進行した。

外国為替市場の対米ドルの円相場を表示するボード=2025年11月20日午後、東京都中央区
写真提供=共同通信社
外国為替市場の対米ドルの円相場を表示するボード=2025年11月20日午後、東京都中央区

現在、わが国経済はインフレ状況にある。それにもかかわらず、高市政権はデフレ脱却を目指す“リフレ政策”を主眼としている。リフレ(リフレーション)とは、通貨膨張などを意味し、緩和的な金融政策と拡張的な財政政策を組み合わせる政策をいう。

積極財政はインフレを加速させてしまう

高市政策には、財政悪化という大きなリスクを抱えている。物価上昇の中で財政出動を増やし補助金を気前よく配ると、物価はさらに上昇しやすくなる。それに伴い、財政悪化と“悪い金利上昇”は深刻化し、財政破綻の懸念すら高まる。そうした懸念から、11月後半、円売り・株売り・債券売りの“トリプル安”が起きた。

円安にはメリットもあるものの、現在の円安は物価上昇というデメリットが大きい“悪い円安”だ。円安は輸入物価の再上昇、国内の生産者、消費者物価の押し上げにつながる恐れがある。個人消費の下押し圧力も強まることも考えられる。

むしろ、高市首相は、日本経済の実力の向上と財政健全化に向けた明確な考えを示すべきだ。その対応が遅れると、わが国の経済環境は一段と厳しい状況に陥ることも想定される。