企業が発信する情報は「建前」ばかりで面白くない――。そんな常識を覆し、YouTubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」を大人気チャンネルへと育てたプロデューサーのハヤシユタカさん。本書には彼の独自哲学と試行錯誤の日々が綴られている。
「YouTubeチャンネルを立ち上げた最大の目的は、本や文房具を直接売ることではありません。有隣堂という書店の“ファン”をつくること、それがすべてです」
書店は価格や品揃えでの差別化が難しい。「だったら、面白いYouTubeをやっている有隣堂に行ってみよう」と思ってもらえる関係性を築く。ファンになってもらうにはどうすればいいか。たどり着いた答えが「素直」に「本音」を伝えることだった。多くの企業が発信する情報は、どうしても建前が多くなる。当たり障りのない情報では心に響かないし、視聴者の貴重な時間を使ってもらえない。企業らしからぬ「素直さ」で視聴者に「この会社はなんだか面白いぞ」と感じてもらうことを狙った。
「その象徴がMCを務めるキャラクター、R.B.ブッコローの素直な言動です」
たとえば、ガラスペンの魅力を伝える社員に「アマゾンで買ったほうが安くない?」と指摘する。
彼の素直さを引き出すために大事にしていることが3つある。
「1つ目は撮影が始まるまで、ブッコローとゲスト出演者を一切会わせず、台本のない新鮮な驚きを生み出すこと。2つ目は、ブッコローと出演者の『素直な発言』が光るように動画編集すること。そして3つ目が環境づくり。ブッコローの素直な発言を『面白い』と受け入れ、世に送り出すことを許容するチームを目指す。これが一番大切ですね」
ファンビジネスの本質が、この一冊に詰まっている。
※本稿は、雑誌『プレジデント』(2025年12月5日号)の一部を再編集したものです。
ここから先は有料会員限定です。
登録すると今すぐ全文と関連記事が読めます。
- 広告最小化で快適な閲覧
- 雑誌『プレジデント』が最新号から読み放題
- ビジネスに役立つ学びの動画が見放題
- 会員限定オンラインイベント
検索時にプレジデントオンラインに関連する記事が表示されます




