物事を多角的に捉えるためには、「鳥の目・虫の目・魚の目」を持てと言われる。時に俯瞰し、時に細部まで観察しつつ、時流も読む。

小松由佳
1982年、秋田市生まれ。東海大学山岳部で登山を学び、2006年、世界第2の高峰K2に日本人女性として初登頂。フォトグラファーに転向し、2013年シリア人男性と結婚。内戦で難民となった夫家族を通して取材を続けている。

小松由佳さん(ドキュメンタリーフォトグラファー)はこの3視点に加え、独自の「内視鏡」も携え、本書を仕上げた。シリアの沙漠で総勢70人の大家族と出会い、その十二男、ラドワンと結婚。内戦で故郷パルミラを追われた難民の家族としてシリアそのものに入り込み、深く取材できたからだ。

(インタビュー・文=富岡悠希 撮影=西田香織)
【関連記事】
アリの小さな体は孤立のストレスにどう対処しているか…古藤日子『ぼっちのアリは死ぬ』
熱狂的なファンビジネスの極意…ハヤシユタカ『愛される書店をつくるために僕が2000日間考え続けてきたこと』
ひとりの人間として生きろと言われた気がした…藤井英樹『上司 豊田章男』
普通って何だ? なぜ沈黙を待つことができないのか…水野太貴 『会話の0.2秒を言語学する』
「ドラゴンボール」の舞台裏…島嶋和彦『ボツ「少年ジャンプ」伝説の編集長の"嫌われる"仕事術』