大事なプレゼンや商談の前など、「不安」を感じる場面は多々ある。セミナー講師の望月俊孝さんは「人間のDNAレベルで組み込まれている“不安”を繕ったり、押さえつけたりするのは無理だし得策ではない。むしろ、“不安”を活用して、力に変えていくべきだ」という――。

※本稿は、望月俊孝『その習慣、変えてみたら? うまくいかないときに「まずやる」こと』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

鏡の前でネクタイを結ぶ白いシャツを着た男性
写真=iStock.com/emariya
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不安の解消は人生の最優先課題

「どうすれば、人生が変わりますか?」

僕はいったい今までに何度、この質問を受けてきたことか……。

それこそ30年以上、書籍や研修で伝え続けてきたのがこの質問の答えです。

こんな質問をしてくる方たちは現状に悩んでいます。もちろん具体的な悩みは人それぞれ。でも、悩んでいる人は共通して次のような課題を抱えているものです。

不安を解消したい! したい、したい、したい(エコー)

一般的に「不安」とは、新しい環境や、まずい事態になりそうなときに感じる痛みや高ぶりのこと。やっかいなことに一度感じるとなかなか止まりません。そして、ひどくなると、こんな現象が起きます。

①注意⼒が散漫になり、1つの⽬標に集中しにくくなる。
②認知能⼒が低下して、論理的な思考ができなくなる。
③不安をあおる「ネガティブなニュース」ばかり⾒たくなったり、破滅的な思考が浮かびやすくなったりする。

つまり、人生が停滞し、何もできなくなってしまう。それってヤバすぎます。

僕は、不安の解消こそ、人生の最優先課題だと思っています。

人類が生き残ったのは不安のおかげ

でも、ここでちょっと考えてみてください。「不安」は本当に、人間にとって必要のない、一刻も早く解消すべき「敵」なのでしょうか?

答えは「ノー」。

なぜって、私たち人類が生き残ってこられたのは「不安」のおかげだからです。

人は、不安を感じると、普段より知覚が高まり、より危機を察知しやすくなります。そして、「もっと頑張ろう」「もっと準備しよう」とマジになれるのです。

だからこそ、人間のDNAレベルで組み込まれている「不安」を繕ったり、押さえつけたりするのは無理だし、得策ではありません。むしろ、「不安」を活用して、力に変えていくべきです! 不安はフレンド。不安のファンになりましょう。