「転勤したくない」という若手社員が増えている。どうすればいいのか。経営コラムニストの横山信弘さんは「一方的な通達では社員が納得しないのも当然だ。転職を伝える際は最低でも2~3カ月かけることを勧めたい」という――。
辞表を提出する
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転勤の辞令を出したら、退職届で返された

転勤の辞令を出したら、約半数の人が退職を考えるという。どうしたらいいのか――。

【図表1】転勤をしたことが「ある」と回答した方に伺います。転勤をきっかけに、退職を考えたことはありますか?(年代別)
男女2303人を対象に6月に調査(エン・ジャパン「転勤に関する実態調査」を基に作成)

「エン・ジャパン」が男女2303人を対象に行った調査によれば、転勤経験者の44%が転勤を機に退職を検討している。20代では4人に1人が実際に退職しているのだ。実際に、「転勤の辞令を出したら、退職届で返された」と言う部長がいた。

「一昔前では、考えられない」

と苦悩する。社員の言い分は大切にしたいが、転勤ゼロなんて現実的ではないからだ。

世の中には「びっくり退職」というものがある。まさかアイツが退職するなんて。予想もつかない人が退職を決意していたら誰もがびっくりする。同僚も先輩も上司も、なんでもっと早く相談してくれないんだ、と残念がるだろう。

それと同じだ。転勤辞令も昔のようにいきなりでは理不尽だ。不誠実すぎる。心の準備だけでなく、あらゆる家庭の事情も考慮する必要がある。

冒頭に記したエン・ジャパンの調査結果は、もはや無視できない数字である。

日本は世界でも稀な「同意なき転勤」大国だ。多くの先進国では従業員の同意が前提となる転勤が、日本では企業の一方的な命令として行われてきた。私も大きな会社に所属していたのでよくわかる。期末になると、突然、

「俺、来週から高松へ行くことになった」
「愛知の岡崎へ転勤になった。東北で根を下ろすと思ったんだが……」

毎年、年度末になるとこのような会話が聞かれた。しかしこの慣習は、間違いなく限界を迎えている。

かつては終身雇用と引き換えに受け入れられてきた転勤制度。しかし人材不足が深刻化する現代では企業にとって大きなリスクだ。この問題にどう向き合うべきか考える時期がきている。