上司と信頼関係を築くにはどうしたらいいのか。『年上との話し方で人生は変わる』(総合法令出版)を書いた中島健寿さんは「信頼される人は『話し上手』ではなく『聞き上手』。ワンパターンな相槌ではなく、『反応の質』の高さが要にある」という──。(第1回)
会話するビジネスマン
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なぜ「聞く力」が最大の武器となるのか

年上との信頼関係を築くうえで、多くの人が見落としがちなのが、「聞く力」こそが最大の武器になるという事実だ。

うまく話そう、いい言葉を選ぼう――。そうやって話すことに意識が向いてしまうのは当然だ。けれど、本当に信頼される人は、「話し方」よりも「聞き方」に優れている。

なぜなら、人は「理解された」と感じたとき、はじめて心を開くからだ。特に年上の人は、若手と比べて経験も多く、それだけ話したいことや伝えたい思いもたくさん抱えている。だからこそ、自分の話を真剣に聞いてくれる相手には、自然と好意と信頼が芽生えていく。

ただ耳を傾けるだけではない。相手の言葉の裏にある気持ちや意図まで汲み取ろうとする姿勢。その誠実な姿勢こそが、「この人には、もっと話してもいいかも」「この人なら、自分のことをわかってくれるかもしれない」そんな信頼の芽を育てていく。

つまり、聞く力とは、相手に「安心感」と「信頼感」を与える行動なのだ。若さを武器にするには限界がある。だが、聞く力は、誰でも今この瞬間から磨ける。そしてそれは、どんな言葉よりも深く相手の心に届いていく。

聞き上手な人は「反応の質」が高い

年上との会話で、最も効果的なコミュニケーションスキルのひとつが、「リアクション」だ。実はこの“反応の質”が、相手の話す量や深さを大きく左右している。

リアクションのコツは、大きく3つある。

1.表情の変化をしっかり見せること

年上世代は、相手の表情から会話の手応えを感じ取る。だからこそ、笑顔でうなずく、驚いた表情を見せる、感心したときに目を見開くなど、感情をちゃんと“顔”に出すことが重要だ。

リアルタイムで感情が伝わると、話す側は「ちゃんと伝わっている」と感じ、さらに心を開いてくれる。

2.相槌のバリエーションを持つこと

「へえー」「そうなんですね」「なるほど」「たしかにです」こうしたワンパターンな相槌では、話が流れていってしまう。

相手の感情に合わせて、「それは嬉しいですね」「大変だったでしょうね」と感情に寄り添った言葉を使うと、共感が深まる。