ラーメン店を直撃するバラ肉の高騰
全国のラーメン店から悲鳴が上がっている。ラーメンに欠かせない食材である豚肉の値上げが止まらないためだ。
ここ数年、豚肉の価格は高騰傾向だったが、昨年末に追い討ちをかける出来事がヨーロッパで起きた。昨年11月末のスペインでのアフリカ豚熱(ASF)の発生だ。これを受けて、日本政府は直ちにスペインからの豚肉輸入を全面的に停止し、その影響から豚肉市場の需給は逼迫した。
特に影響が大きいのは、スペイン産の存在感が大きかったバラ肉だ。輸入バラ肉(冷凍)の卸値は1年ほど前まで1キロ800円台で推移していたが、スペインからの輸入停止措置が発表された昨年12月には約1000円まで上がった。
こうした影響はすでにラーメン店などの経営にも響いており、ラーメン店からは「1カ月で2回も豚肉が値上がりした」「もうチャーシューでバラ肉は使えない」といった声が相次いでいる。
なぜ日本にとってスペイン産が重要なのか
なぜスペインからの輸入停止にこれほど注目が集まっているのか。理由は大きく3つある。
第1に、量だ。日本は国内の豚肉消費量のおおむね半分を輸入しており、その輸入量のうち、スペイン産豚肉は約2割を占める。さらに、主に業務用として流通する冷凍豚肉に限れば約3割をスペイン産が占め、日本にとっては最大の輸入相手先だった。スーパーの店頭などでの存在感は薄いが、飲食店や食肉加工業者にとってスペイン産豚肉は重要な存在だった。
第2に、部位だ。スペインでは豚バラ肉への需要が少ない。そのため、ラーメン店のチャーシューやベーコン・ハムなどの原材料であり、日本でのニーズが高いバラ肉の買い付けがしやすく、バラ肉では特にスペイン産のシェアが高かった。
第3に、価格だ。直近の豚肉価格は高止まりを続けている。特に値上がりが深刻なのは国産で、背景には酷暑の影響がある。夏の記録的な暑さにより、雄豚が夏バテし、母豚の受胎率も低下傾向にあるのだ。その結果、バラ肉で見ると国産の卸値はキロ1300円前後を推移している。一方のスペイン産は輸入豚肉のなかでも安価で、ASF発生前の卸値はキロ700円台と、国産と比較すると半分近い値だった。

