2023年に着用が「努力義務」とされた、自転車乗車用のヘルメット。でも、かぶってる人って……あまり見かけない気が。実際、着用率は20%程度にとどまる。「脱いだあと、どこに置けばいいかわからないし」など、「かぶらない派」の言い分もさまざま。このままで本当にいいのか? 専門家と考えてみた。
「自転車のヘルメット? 着けてませんよ。だって周りもみんなしてないし、かぶったら暑いし、髪形も崩れてしまうじゃないですか」
こう話すのは、東京都内で暮らす会社員の女性(52)。毎日の通勤で、自宅から駅まで自転車を利用するが、ヘルメットを着けることは「考えたこともない」と言う。
「というか着ける理由ってあるんですか? 逆に知りたいです」
『まだまだ』と言わざるを得ない
23年4月に改正道路交通法が施行され、全年齢で自転車用ヘルメットの着用が努力義務となってから、来月で2年半。しかし、周りを見渡しても、ヘルメットを着けている人の割合は「明らかに、多くはない」がほとんどの人の体感ではないか。実際、警察庁が今月11日に公表した調査結果によると、着用率の全国平均は21.2%にとどまっている。
「自転車ヘルメットの普及状況は、『まだまだ』と言わざるを得ないと思います」
こう話すのは自転車ジャーナリストで「自転車の安全利用促進委員会」のメンバーでもある、遠藤まさ子さん。同委員会が行った調査でも、気になる数字があると話す。
「令和6年に中学生を対象に『自転車事故にあったときの』ヘルメット着用率を調べたところ、全国平均で約7割(71.8%)。しかもこれが高校生になると全国平均は約1割(12.9%)にまで下がるんです。事故にあったときでさえこの数字。事故にあっていない人を含めるともっと数字は下がるのではと、とても危惧しています」

