ベンチャーを選ぶのは自分に自信がある人
『大学生の就職活動』などの著書がある関西大学社会学部の安田雪教授は、「一見すると大人しくて真面目で、どんな企業に行っても通用しそうな学生のなかに、ベンチャー企業を選択をする人が現れだしているところに特徴がある」と指摘する。
「今の若い世代に根強くあるのは、従来の企業が人を長期的に育ててくれないのではないかという不信感です。とりわけ自分に自信がある人が、企業選択においても自分の価値観を貫こうとベンチャー企業を選んでいる」
その意味で彼らが体現しているのは、世代全体に共有されている「仕事観」でもあると彼女は言う。
「彼らは社内外の仲間と強さと弱さを補い合いながら力を発揮することが、社会にいい影響を与えることを直感的に感じ取っているのでしょう。そうした若者たちがそれぞれの環境で、新しい『働き方』を模索する存在になっていく。それが大企業であるかベンチャー企業であるかにかかわらず、その力をいかに引き出すかは、今後の社会の成長の鍵になっていくはずです」
(的野弘路=撮影)