票数の多い企業は単なる最大公約数

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就職ブランドランキング
※文化放送キャリアパートナーズ 就職情報研究所「2014年入社希望者就職ブランドランキング調査」。カッコ内は前回調査の数値

文化放送キャリアパートナーズが2014年入社希望者を対象に実施した、「就職ブランドランキング調査(※1)」によれば、三菱東京UFJ銀行が前年調査に引き続き「就職したい企業」で第1位になった。この調査について、東洋経済オンラインの記事では、「自動車メーカーの凋落、金融の躍進が目立つ」との分析が行われている。

これを受けて、近年の若者の「保守化」を嘆いたり、新卒一括採用の問題点を語ったりするのは、ネットメディアの台頭で、コモディティ化が激しいコラム業界にまた1つ「コモディティコラム」が増えるだけなのでやめたい。

このコラムのテーマは、担当編集からは「ニュースの教養」だと聞いた。教養とはアラン・ブルームによれば「他の考え方も成り立ちうることを知ること」だとされる。ならば、このコラムでは、こうしたランキングは最近の就職活動の動向を知るうえでどれくらい意味があるのか、また、最近の新卒採用の動向はどう変化しているのかについて、以下分析したい。

このランキングを見てまず、最初に気がつくのは、明治グループ(製菓・薬品等)、ロッテ、オリエンタルランド、JTB、JR東日本、集英社など学生になじみが深い消費財企業が多いことである。

これには幾つか理由がある。就職シーズンになって発表される調査にはいくつか調査上のバイアスが存在しており、ここから意味合いを抽出するには大きく4つの留意すべき点がある。